目 次
ふるさとU - (2)
(2)

ブロック塀と鉄の門扉、その先に続く石畳と玄関の格子戸――。
福岡の実家は、古くなっている以外は、昔のままだった。玄関脇に植えられた紫陽花は、青から紫に変色しかけている。
呼び鈴を押すと、しばらくして格子戸が開いた。
その隙間から顔を覗かせたのは、見知らぬ老人だった。老人は怪訝そうに、わたしの顔を見上げた。
わたしが名乗ると、老人の顔がパッと明るくなった。
「ああ、旦那さまの息子さんですね。失礼しました。お顔を拝見したときに、気がつくべきでした。どうぞお入りください」
老人はわたしたちを家に入れると、先に立って応接室に案内した。年のころ70歳前後、すっかり頭髪が薄くなって、気ままなご隠居さまといった風情の老人だ。
わたしは老人の可愛らしい後姿を見ながら、あれこれと憶測した。父とはどういった関係なのだろう。父が老人と同棲しているとは、聞いていなかった。

ほどなく父が現れた。ジーンズにチェック柄の半袖シャツを着て、76歳の年齢よりずっと若く見える。白い髪はすっかり薄くなっているが、小じわの寄った細い目が、いたずらっ子のような輝きを見せている。
健康的に日焼けした面長の顔は、いかにもお人好しのなつかしい顔だ。
父は開口一番、言った。
「なんだ、来るのなら事前に電話しろ」
そこで、わたしの横に立つ征さんの腹を見て、「いい年をして、妊娠でもさせたのか?」
いかにも父らしいジョークだ。
呆気にとられた征さんに対し、父は白い歯を見せて微笑みかけた。
「やあ、いらっしゃい。息子がお世話になっています」
大抵の男好きの男なら、父の笑顔を見ればコロリと参ってしまう。それほど父の笑顔は、魅力的だ。
案の定、征さんも頬を赤らめて、恥ずかしそうに挨拶する。
父は身長170センチほど、背はわたしより低いが、均整の取れた体型をしている。
おそらくわたしより10キロ近くは軽いだろう。よほど摂生している証拠だ。
それにしても着古したジーンズに包まれた腰周りには、芯のある弾力とフツフツとした精力を、今もって感じさせる。

先ほどの老人が、お盆に載せたお茶を持ってきた。
そこで父が、老人を紹介した。
「昇だ。お互い、やもめ暮らしも何かと不便だから、一緒に生活している」
老人が丁寧に頭を下げた。
わたしは昇さんを改めて見て、心が騒ぐのを覚えた。
背は低いが小男というほどでもなく、やや小太り気味の体型に、色白の上品な顔立ちをしている。お公家さんのような薄い眉毛の下で、二重まぶたのつぶらな瞳が、驚くほど純朴な光を宿している。
ふと、この老人と父の性生活を想像した。男好きの父のことだ、年老いたとはいえ、この可愛らしい老人と何もない、ということはないだろう。
「陽一、おまえの部屋は、昇が使っているんだ。お前たちは客間で寝てくれ」
父はわたしに言ったあと、昇さんに命令した。
「ふたりの荷物を、客間に運んでくれ」
それから、征さんの腰に親しそうに腕を回して、「長旅でお疲れでしょう。あなたはここでゆっくりしてください。わたしは息子とちょっと話があるので、失礼しますよ」
父が征さんの身体から離れるとき、征さんの尻をさわっと撫でるのに気づいた。

応接室を出て父の部屋に向かう途中、後ろに顎をしゃくって、父が言った。
「可愛らしい男だ。ハネムーンのつもりか」
「バカ言うなよ。父さんこそ、可愛らしい爺さまを、家に引っ張り込んでるじゃないか」
「ああ、たまには抱いてやるが、女房代りと言うより、使用人みたいなもんだ」
「使用人って、ひどいことを言うなあ。あんな品の良い老人に対して」
「お前、昇に気があるのか。なんだったら、今晩貸してもいいぞ」
「なに、バカなことを言ってるんだ。父さんこそさっき、征さんのお尻を撫でたじゃないか」
「ばれたか。あの男、乗り心地のよさそうな尻をしてるな。どうだ、今夜はお互いの男を、取っ替えっこしないか」
父のあぶない話は、次から次へと出てくる。少なくとも父が、まだボケていない証拠だ。しかし、ボケていないのは頭だけではなかった。

部屋に入ると、父はさっそく抱きついてきて、濃密な口付けを交わした。
わたしの舌を吸いながら、父の手が下に伸びて股間をまさぐる。みるみる熱い血が、下腹部の一点に集まってくる。
「元気がいいじゃないか。さあ、わたしに見せてごらん」
父はキングサイズのベッドの縁に腰を落とし、わたしのズボンの前を開く。
「おお、すごい!しばらく見ぬ間に、立派になったもんだ」
父は匂いを嗅ぐように、わたしの男根を顔中にこすりつけ、それから思い入れたっぷりに咥えた。
湿った温かい感触――。たちまちわたしは深い快感に、うっとりとなる。

そのうち、父は服を脱ぎだした。本格的にやる気になったようだ。
「父さん、客がいるんだぞ。昼間から、なに盛ってるんだ」
「いいじゃないか。わたしもこの先、そう永くはない。親孝行だと思って抱いてくれ」
わたしたちは裸になって、69の形でお互いの性器を慰めあった。
父はさすがに昔のような勃起力はないが、エラの発達した亀頭は、老人とは思えないほど逞しく張りつめている。
大きさだけで言えば、わたしのほうが太さも長さもあったが、カリ首の発達した力感的な形状は、父にかなわない。わたしはうっとりとして、包皮のきれいに剥けた父の男根に舌を這わせ、喉の奥まで呑み込んだ。



父は「嵌めてくれ」と言って、うつ伏せになって尻を持ち上げた。その尻はすっかり柔らかくなって、肉も薄くなっている。
突き出された双丘を愛撫しながら、指先を尻の谷間伝いに潜り込ませ、肛門の膨らみを優しくまさぐった。それから舌を這わせて、開口部を舐めほぐした。
父が気持ち良さそうに喘ぎ、その尻が期待に打ち震える。
「ちょっと待て」
父は行為を中断して、サイドボードからジェルの容器を取り出した。水を差された感じだが、そのジェルを菊門から内部にかけて、丁寧に塗り込めた。

膨らみを割って中に押し入ったとき、父がうめき声をあげた。
湿ったなめらかな感触――30数年前に戻った気分だった。
しかしあのときは、ただ、がむしゃらに父の背後に突っ込んでいたが、今は経験に裏打ちされたテクニックがある。
わたしは体位を変えて前から繋がると、父の反応を見ながら、じっくりと腰をうねらせた。
父の内部が昔を思い出したように、わたしの大きさになじんでくる。
直腸の奥までググッと突き進んで、亀頭を捩じるように抜き出すと、父がひときわ大きく善がり声をあげた。
「どうだ、父さん、いいか?」
「ああ――いい――いいぞ」
父は、夢見心地の表情でつぶやいた。
こんどは、カリ首のエラをこすりつけるように、肛門括約筋を摩擦する。父の善がり声が、すすり泣くような調子に変わる。
父の反応を見て、わたしはなんとなく嬉しくなった。

晩飯は、わたしの大好物の、カシワの水炊きだった。男ばかり4人ということもあって、会話はさほど弾まないが、なんとなく艶めいた雰囲気が漂っていた。
父は熱を帯びた目つきで、わたしを見ていた。昼間、父と親密なひとときを過ごしていたとき、あまりにも父の善がり声が大きくなったので、行為を中断したからだ。
父はその欲求不満を今夜、昇さんにぶつけるのだろうか?
その昇さんは、時折、わたしのほうを窺うように見ている。ひょっとしたら彼は、寝室で親子が何をしていたのか、感づいているのかも知れない。
いっぽう征さんは、長旅の疲れも見せず、本来の根アカを発揮して、4人の中では一番にぎやかにしゃべっていた。
その艶やかな顔を見ていると、今夜のお楽しみを思い、股座が疼いてくる。

夜の10時に、ようやく征さんと二人きりになれた。蒲団はふたつ敷かれていたが、その必要はなかった。わたしと征さんは全裸になって、ひとつ蒲団の上で抱き合った。
同じ屋根の下に、父とその愛人がいると思うと、それが刺激になって、いつになく興奮してくる。今頃は父も、昇さんを抱いているのだろうか?
「ヨウちゃんによく似てるね」
わたしの腕の中で、征さんがつぶやいた。父のことだと気づいたので、わたしは言った。
「それで、親父を見てどう思った?」
「それはもう、素晴らしい人だと思ったよ」
「どこが素晴らしいって」
「どこがって――顔も声も体も、ヨウちゃん同様、すべてがわたしの理想だな」
「それで――どっちがいいの?」
「えっ?」
「親父とわたしと、どっちがいいんだ?」
「いやだな、ヨウちゃんに決まってるじゃない」
「ふん、どうだか。こんどは、体に聞いてみるか」

蒲団に横たわる豊満な白い肉体は、わたしの欲情を煽り立てる。わたしは手と口を使って、征さんの全身を愛撫し、舐め回した。
征さんは、敏感に反応した。微妙な指の動き、舌の動きに、腰をうねらせ、太腿を擦り合わせて喘いだ。
最後はわたしの大のお気に入り、征さんをうつ伏せにして、尻を高く掲げさせ、そのむっちりと横に張った全容を、背後からじっくりと眺める。
艶々と白く輝く肉付きのよい双丘、ピンクに色付いた広大な谷間、その中心部に鎮座するつつましやかな皺の集合体――。
わたしは柔らかい狭間に顔を押し付け、なつかしい匂いを嗅ぎ、じんわりと舌を使った。
味わうように舐め、チュボッと吸い付き、舌の先を固く尖らせてこじ開ける。
征さんが悩ましげに尻をうねらせる。じょじょに熱がこもってきた。

いよいよ機が熟すると、背後からあてがい、熟れた豊満な肉体に割って入った。
圧倒的に重厚な温もりが、わたしの分身を押し包む。
奥に突き進むと、征さんが背中を反らせて身悶えした。
すばらしい感触だった。
じっとりと濡れて、温かく、弾力のある締まり具合だった。
小さくあるいは大きく抽送を繰り返すと、最初のうちは、軋むようなぎこちなさがあったが、すぐに内部の肉襞が馴染んできて、滑らかな摩擦にかわる。
わたしは時間をかけて、征さんの熟した肉体を味わった。
厚みのある軟らかい肉の管が、わたしの陰茎をすっぽりと押し包み、微妙な刺激を与えてくる。無数の襞が絡みつき、締めつけ、押し返す。
繋がったまま、じょじょに体位を変えた。
横抱きにして抜き差しし、ぽってりした片脚を抱えあげて、腰をうねらせた。

最後は正常位で交わった。
征さんは柔軟な肉体をしているので、太った体を海老形に曲げられても、さほど苦にせず、わたしの荒々しい行為を受け止めている。
目を閉じ、口をわずかに開けて、甘ったるい声を出している。
可愛らしい顔をみていると、無尽蔵の力が湧き出るのを感じた。腰をたわめて、大きく小さく、激しく優しく、自由自在に動いた。
征さんの善がり声が大きく、切迫したものに変わってきた。今や、家主に気を使って声を押し殺すことも忘れ、すっかり快楽の世界にのめり込んでいる。
わたしは動きを速めた。
速く、速く――グングン昇り詰めていく。
その頂点で、征さんの尻の奥一杯に男根を突きさし、溜まりに溜まっていた精液を、どくんどくんと注ぎこんだ。
[17/03/26 08:22 神亀]
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