(1)
東京を深夜に出発して、中国自動車道に入ったところで、ようやく空が明るくなった。
これで全行程の半分を過ぎたことになる。
助手席には、夜通し運転していた征さんが、ぐっすりと寝入っている。その寝顔は無邪気そのもので、かすかに開けた口から、軽い鼾が聞こえてくる。
わたしの勤め先は大企業だったので、社員たちも多い。中には、心惹かれる年配者も何人かいた。妻が死んで半年が経った頃、その中のひとりと人に言えない関係になった。
それが今、助手席にいる征さんだ。
征さんは、わたしより10歳年上の62歳。会社を定年で退職したあと、東京近郊のマンションの管理人をやっている。
とにかく、見るからに好人物である。
ボディーサイズは、164センチ82キロ、愛嬌のあるアンコ型の体つきをしている。
丸っこいおでこは大きく後退して、頭髪もめっきり薄くなっている。すこぶる健康体で、髭のない顔は、赤ん坊の肌のようにつやつやとしている。
また性格的には、気の弱いところがあるが、いたって温厚かつ根アカで、いつも笑みを絶やさない。少しオッチョコチョイだが、細々した事でも辛抱強くやる几帳面さもある。
征さんと初めて関係を結んだ夜は、今思い出しても甘い興奮を呼び覚ます。
残業の後、ちょっと立ち寄った居酒屋で、征さんに出会ったのがきっかけだった。
その頃は部署が違っていたので、お互いに顔は知っていたが、さほど口を利いたこともなかった。
しかしわたしのほうは、征さんを空想世界の愛人の一人と決めていた。
ウブっぽい小造りの目鼻立ち、妙に艶っぽいピンク色の唇、肉がたっぷりとついた幅広のお尻――社内で目にする征さんの姿は、いつもわたしの生殖細胞を刺激した。
わたしが居酒屋に入ったとき、征さんはすでにほろ酔い加減だった。
数人の社員たちと一緒で、以前わたしと同じ部署だった人間もいて、さっそくわたしは彼らと合流した。
皆と適当に話を合わせながら、意識は征さんひとりに向いていた。
征さんも一年ほど前に奥さんを亡くしたと分かり、同じ境遇がふたりを急接近させた。根アカで人の良い征さんは、すっかりわたしに好意を寄せて、無邪気に話しかけてくる。
アルコールが回るにつれ、征さんに対する欲望が募った。
なにかの拍子に征さんが腰をかがめたとき、ズボンの薄い布地をはりつめて、左右に分かれたでっぷりとした双丘や、柔らかそうな谷間が目に入った。
そのときわたしは決心した。今夜は絶対に、征さんと親密な関係を築いてやる――と。
店を出る頃には、征さんはすっかり出来上がっていた。わたしはふらつく征さんをタクシーに押し込み、彼のマンションまで送り届けてやった。
子供のいない征さんは、一人住まいだった。
さっそく意識朦朧とした征さんを裸に剥き、浴室に連れて行った。
征さんの裸体は、想像以上に艶っぽかった。胸も腹もうっすらと脂肪の層に覆われ、色白の肌はシミひとつなく、ぬめるようにしっとりとしている。
シャワーをひとかけし、ボディーシャンプーをつけて、手の平で愛撫するように擦ってやった。特に尻の狭間や陰部は、念入りに洗ってやった。
その間、征さんは、太短い性器を勃起させて、わたしのなすがままに任せていた。
風呂から上がると、ごく自然に、征さんの体に腕をまわして、こちらを向かせた。
征さんはこうなることを予期していたようで、多少臆病そうにわたしを見上げている。
わたしは何も言わずに、征さんの腰に両手を添えて、抱きすくめた。
征さんは抵抗もせず、わたしの腕の中でじっとしている。彼の方が10歳上なのに、まるでわたしのほうが年長者であるかのように従順だ。
丸いめがねの奥の臆病そうな瞳、ウブっぽい口もと――征さんの顔を間近に見ていると、息苦しくなった。
そっと唇を合わせた。
征さんがかすかに喘いだ。
口付けしながら下に手を伸ばすと、すでに固く膨らませている。
征さんをソファーに座らせ、パンツの合せ目から男根を取り出した。マツタケの初物のような可愛らしい形状をして、縮れた包皮の先端から、ピンク色の坊やが覗いている。
顔を寄せて口に含むと、征さんがハッと息を呑んだ。
昔、親父の性器を口にした時と同じ、なつかしい味だった。わたしは時間をかけて、征さんのオトコを味わった。
しばらくして立ち上がると、今度はわたしの男根を取り出して、征さんの口元に持っていった。最初のうち、征さんは怪物にでも出会ったかのように、目を見開いて、口を固く閉ざしていた。
後頭部を押さえて強引に押し付けると、ようやく唇を開いて受け入れた。
――湿った温かい感触。わたしは極度の興奮に、腰をうねらせた。
ぐ、ぐふっ――。
征さんが喉を詰まらせ、くぐもったうめき声をあげた。

いよいよ後ろを試すことにした。
征さんの太った身体を後ろ向きにして、ソファーに押し付けながら、でっぷりした尻には小さすぎるパンツをずり下ろそうとした。
征さんが情けない顔でわたしを振り仰いで、「それだけは勘弁して」とつぶやいた。
やめるつもりは無かった。薄い布地の上端からのぞく、ふっくらとした双丘の分かれ目を見て、股間で激情が渦巻いた。
剥ぎ取るようにパンツをずり下げると、豊満な尻があらわになった。
左右に張ったふくらみ、無防備に晒された広大な谷間。ピンクに色付いたきれいな菊座は、小皺を集めて、どことなくとぼけた表情をしている。無毛のぽってりとした太腿のあいだでは、淡紅色の大きな袋がぶら下がっていた。
急激に昂ぶってきた。
わたしは征さんの太った腰を両手で押さえ、開かれた谷間に顔を埋めた。柔らかい狭間に沿って舌を滑らせ、皺のふくらみを押し開くように舐めた。
征さんはくすぐったそうに尻をうねらせていたが、唾で濡らした指を入れると、息を呑んで腰を引いた。
嫌がる征さんの腰を強引に押さえつけ、指を使って菊門をほぐした。
それから怒張した先端部を柔らかい蕾にあてがい、突き入れようとした。
なかなか入らなかった。
それでも括約筋がじんわりと広がり、亀頭が少しずつ入っていく。
あと少しのところで、グッと力を加えると、亀頭がズルリとめり込んだ。
「うわあーっ!」
征さんが、甲高い悲鳴をあげた。
苦しそうにのたうちだした征さんにかまわず、硬直した逸物をゆっくりと沈めた。無理やりこじ開けられた肛門括約筋が、きつく締め付けながらも奥まで受け入れる。
完全に入り込むと、しびれるような緊迫感に包まれた。しかも温かく、力を奮い立たせる吸着力をもっている。
わたしは極度の興奮に、相手を思いやる配慮を失っていた。ただ性急に腰をうねらせ、柔らかい窪みを侵しつづけた。
その間、征さんはソファーにしがみついて、あわれっぽい悲鳴をあげ続けている。
やがて耐え難い波に呑み込まれた。
息詰まるクライマックスが襲った。
わたしは脈打つ男の部分から、内臓を絞り出して全てを放出するような感覚を味わった。
――◇――
征さんが目を覚ましたので、サービスエリアに入ることにした。
わたしはいつも、サービスエリア内の広いトイレに入ると、何か良いことが起きそうな、淡い期待を抱く。とくに、年配の男が横並びで、小便器に向かって放尿していれば、それだけで幸せな気分になる。
小便をしていると、征さんがわたしの手元を見ているのに気づいた。それもそのはず、運転中に淫らなことを考えていたわたしは、まだムズムズ状態だった。他に人がいなければ、征さんをブースに引っ張り込んで、ちょっとしたお楽しみを始めるところだ。
食堂で朝食をとり、そのあと車に戻ったときも、まだもやもやとした気分だった。
征さんはぐっすりと眠ったあとだったので、髭の無いなめらかな頬は、つやつやとして血色が良かった。
ピンク色をしたつややかな唇を見ていると、無性に精を抜きたくなった。
近くに車はいない。わたしは征さんをそっと引き寄せ、すばやく口付けした。
それからズボンの前を開き、半勃起状態の男根を外に出した。さっそく征さんが助手席から身を乗り出して、わたしの腰に顔を埋める。
「ああ――いい」
わたしはうっとりとして、征さんの口淫を受ける。
器用な舌がねっとりと絡みつき、湿った温かい感触が、先端から根元へと行き来する。
しかし残念ながら、最後まで楽しむことは出来なかった。
サービスエリアの駐車場に、車が増えてきたからだ。