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第7章 年貢の納め時 |
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(1)
(あれっ、シゲルさんじゃないの?) 浅草吾妻橋のたもとで、ぼくは足を止めた。 橋の手すりのところで、東京スカイツリーの方向を、ぼんやりと眺めている老人の姿があった。 ぼくは声をかけようとして、老人の醸し出す雰囲気に、動きを止めた。 老人は、何かを想っているように、遠くを見つめていた。憂いのある思いつめた表情――目が潤んで、今にも涙が頬を伝い落ちそうだ。 人の気配を感じたのか、老人が振り返って、こちらを見た。 やはりシゲルさんだった!もともと髪が薄かったが、今やすっかり禿げあがっている。たしか69歳になるはずだ。それでも面影は残っていた。眼鏡の奥で輝く穏和な瞳や、几帳面そうな顔つき、色白の艶やかな頬――。 「シゲルさん、お久しぶり」 ぼくが声をかけると、眼鏡の奥で老人の目が見開かれた。 「鉄平さん!?」 シゲルさんは、はにかみを含んだ笑顔で控えめに頭を下げた。 (昔と変わらないな)懐かしさが込み上げてきた。 ぼくたちはホテルのベッドで、旧交を温めていた。 色白、固太りの身体は、いくぶん肉が落ちて、やわらかくなっているが、それさえもぼくの好色を誘う。 ぼくたちは裸になって抱き合ったまま、とりとめもないおしゃべりをした。 シゲルさんは、自衛隊時代から仲の良かった同輩が、喉頭ガンで死んだと言う。生前の同輩とは、よく吾妻橋で待ち合わせしていたらしい。 それで老人は橋のところで、憂いを含んだ表情をしていたのだ。 ぼくはシゲルさんの悲しみを忘れさせようと、できるだけ淫らにした。 「さ、さ、シゲルさん、お尻の穴を良く見せてくださいよ。どこか変わったところはあるかな」 膝を抱え込んで、双丘を開いた中心部に、ぼくは舌先を彷徨わせた。チロチロと舐め、ヌンメリと舐め、やわらかく膨らんだ襞を舌先で突く。 「ああっ!」 むき出しの快感神経を舐められて、シゲルさんが可愛らしい声をあげた。 ぼくはすっかり淫らな気分になって、すぼんだ軟体動物の口のようなピンクの穴に、吸いつき、舐め回し、舌先をとがらせて侵入させる。 「ぬああっ!あっ、あっ、ああーっ」 泣くような可愛らしい善がり声とともに、押さえているふとももがブルブルと震えだした。 穴にとどまらず、玉袋への細道――蟻の戸渡りへと舐めまわした。 ぼく自身も息苦しいほど興奮してきた。顔をあげてシゲルさんの顔を見ると、早く入れて、と訴えるような表情でこちらを見ている。 「まだまだ――入れる前によく解しておかないとね」 ぼくは舌に代えて、今度は指を使いだした。 (2) いよいよ入れてやろうとした。シゲルさんは顔を赤く染め、茫洋とした表情をしている。どうやら同輩の死の悲しみから、すっかり抜け出たようだ。 「じゃあ、お宮参りをしますよ」 ぼくはひとこと断って、口を開きかけた肛門の中心部に、怒張した亀頭をあてがい、じんわりと押し進めた。 「ああっ!くくく――」 シゲルさんが額に深い皺を作って、苦悶の表情を浮かべる。入れた感じから、さほど痛くないのに、極度の興奮からそんな表情をしているのだろう。 根元までズッポリと突き入れると、熱い腸壁が、張り詰めた全長をしっとりと覆い包んで、微妙な刺激を伝える。ざわざわと細波が立つような、ムニュムニュとミミズがのたうつような刺激だ。昔と変わらない具合の良さだった。 ぼくは心地良く腰をうねらせながら、身を乗り出して老人の口を吸った。そして耳元でささやいた。 「やはりシゲルさんは最高だ。すごく気持ちがいい」 それに応えて、シゲルさんも善がりながら言う。 「ああっ、鉄平さんも――ああ――もう――」 どこか深いところに落ちていくような声だった。 途中で小休止した。 ビールでのどを潤して、再びベッドの上で抱き合った。 すぐには繋がらず、戯れるように、口づけしたり、愛撫したりした。合間に会話をした。 「シゲルさん、まだ働いてるの?」 「ええ。マンションの管理人を続けています」 「奥さんは元気なの?」 「いえ。――女房は一昨年、死にました」 「えっ!それはご愁傷様です」 シゲルさんは間をおいて、話し始めた。すこし物悲しそうな声だった。 「口やかましい女房でしたが、いざ居なくなると、なんだか家の中が妙に静かになっちまって――」 ぼくは老人の孤独を感じた。 「お子さんはどうしてるの?」 「子供は出来ませんでした。――欲しかったのですが」 湿っぽい話を聞いた後なので、行為を再開しても、なかなか燃え上がらない。 ぼくはベッドの外に立って、老人の膝頭を胸につくほどに折り曲げさせ、双丘の狭間に亀頭をあてがった。 そこで、わざと乱暴に、ズググッと奥まで突き入れた。 「うわっ!あああぁ」 シゲルさんが痛そうに悲鳴をあげたが、構わずに抜き差し運動した。 興奮の片隅に、「いじめたい」という気持ちが湧いてきた。今は、変に同情するより、マゾの気がある老人を虐めたほうがいい。 ぼくは、やわらかくすぼまった肉襞をこじ開け、狭い肉筒のなかを、容赦ない荒々しさで犯しだした。 ![]() (3) 日曜日、藤森常務とプライベートなゴルフに来た昼食時、「鉄平くん」と女の声がした。振り返ると、大学時代、同じ美術部にいた白鳥小百合だった。 小百合は美人というより、利発で可愛いタイプで、男子学生に人気があった。 今は、髪の毛をボーイッシュに短く切って、服装も半袖にスラックスとシンプルに決め込んでいる。 「おう、小百合もゴルフか?」 「ええ、父と来ているの」 彼女の後ろに、やや背の低い、恰幅の良い紳士が立っている。 男の顔を見て、ドキリとした。ぼくが最も抱きたいと思うような、可愛らしい顔をしていた。50歳くらいだろうか、頭髪の裾は白いものが目立ち、肉付きの良い童顔だった。鼻の下にチョビ髭を生やしていたが、お菓子屋のサンタさんのように愛くるしい風情がある。 (わあ、タイプ。お付き合いしたい) ぼくの気持ちなど気づきようもなく、小百合は訊いた。 「鉄平くんは、誰となの?」 「――会社の偉いさん」 「ふーん」 彼女は少し考えて「ねえ、せっかく会えたのだから、ゴルフの後、お茶しない?」 「だって、きみ、親父さんがいるだろう」 ぼくは、彼女の後ろで大人しく待っている年配者を見た。 「父はゴルフの後、人と会う約束があるの」 ぼくはちょっと考えた。おそらくゴルフで血の巡りが良くなった常務は、その後のお付き合いも求めてくるだろう。で、ぼくは言った。 「今日は駄目だな。携帯の番号教えておくから、都合のいいとき電話してよ」 その日、ゴルフが終わったあと、案の定、常務は親密な交流を求めてきた。ぼくたちは都内のホテルで、ゴルフに次いで二度目の肉体運動をした。 すっかり満足したあと、常務は昼間話していた女性は誰だね、と聞いてきた。 ぼくが答えると、常務はうなずいて、「性格のいい娘のようだ。早く結婚して、子供を作ったらどうだ」と言う。そのあと付け加えて「結婚したあとも、私たちの仲は変わらないけどね」 常務の持論は、男色は大いに楽しんでいいが、若い人は日本の将来のために、少なくとも子供を二人作れ、と言うのだ。 それから5日ほど経った夕方、ぼくは白鳥小百合と居酒屋にいた。ぼくたちは、もっぱら学生時代の話をした。 「鉄平くんって、女子生徒あこがれの的だったのに、浮いた噂は、全然聞かなかったね。よほど身持ちが良いのかなって、女の子たち言ってたわ」 「ああ――ぼくは、好いた、惚れた、とか興味がなくてさ」 「でも、いい身体してるね。ほら、水原先生の絵――」 水原先生は、ぼくが裸でモデルになった作品を、数点、世に出していた。ぼくが黙っていると、彼女は悪戯っぽく言った。 「あの絵って、鉄平くんがモデルでしょう?それに――」 彼女の爆弾発言は続いた。「宮内先生を恋人代わりにしていたんじゃない?」 ぼくは心臓が止まるほど驚いた。 「なんで英語の宮内先生が出てくるんだ?」 「だってあの先生、鉄平くんを見る目がボーイズラブの目つきだったから。それに、二人が仲良く街を歩いている姿を、何回か見かけたわ」 女の勘の鋭さに驚いた。ぼくは面倒くさくなって、正直に言った。 「ああ、退屈しのぎに先生を可愛がってやったこともあるな」 彼女は驚きもしなかった。 「やはりね。宮内先生、鉄平くんに対しては絶対服従って感じだったから」 そこでちょっと考えて、「ねえ、鉄平くんて、女の子とはまったくラブ出来ないの?」 ぼくは思わず言っていた。「そんなことはない!ぼくだって、筆おろしは女性とやったんだから」 (あ、何を言ってるんだ!)ぼくはうろたえて口を押えた。 そのとき唐突に、藤森常務に言われた言葉が浮かんだ。(早く結婚して、子供を作れ――) ぼくは付け加えた。「それはぼくだって、結婚して子供を作りたいと思っているよ。――もともと、子供好きだし」 小百合は、ふーん、という感じで腕を組み、そして言った。 「じゃあ、女性として、私のことをどう思っているの?」 「いいんじゃないか。あっさりして、べたべたしないから」 ぼくは他人事のように言った。「――それに素敵な親父もいることだし」 「あら、父も同じようなことを言ってたわ。ほら、ゴルフ場で会ったとき。あのあと父はあなたを褒めてたわ。お前も結婚するなら、あんな立派な青年を見つけなさいって」 最後の言葉がぼくの琴線に触れた。ぼくはおずおずと言った。 「そうか――ぼくもきみのお父さんのような人が、ぼくの親父だったらいいな、と思うよ」 小百合はぼくの顔をじっと見ていたが、唐突に言った。 「ねえ、私と結婚する?」 (な、なにを――いきなり何を言う) ぼくは慌てた。そして口ごもった。 「ぼくは本質、男好きだぜ。きみとは長続きしないよ」 「その点は大丈夫。まあ私は、以前からあなたが好きだったけど、しつこく愛を迫ることはしないわ。ただ私は、父のため、男のタネが欲しいの」 「なんだ、お父さんのためって?」 「父は北海道でメロン農家をやってるの。母は早くに死んで、家族といえば東京に住むわたし一人。そのうえ耳が聞こえないの。だから私は、将来、父の手伝いが出来る男の子が欲しいの。――あなたのように丈夫な子供がね」 (4) そのあと酔った勢いで、ぼくたちは連れ込みホテルに入った。女とホテルに入るのは初めてだが、やることは決まっている。 いざとなると、小百合はぼくの兆したものを見て、怖気づいた。ぼく自身も、もうひとつ燃え上がらなかった。しかし、彼女の父親の顔を思い浮かべると、げんきんなもので、ぼくの分身は120パーセントいきり立った。 ぼくは強引に彼女の足を開き、苦労しながらも貫通した。そして、妄想の世界に入り込んで、彼女の父親の内部で射精した。 すっかり終わったとき、小百合が処女だったと分かった。学生時代、彼女の周りには絶えず男子学生がいたが、意外な事実だった。 6か月後、ぼくと小百合は結婚式を挙げた。すでに妊娠6か月に入る彼女は、体型もふっくらとして、そろそろお腹が目立ち始めていた。 来賓の藤森常務は、よくやった、と言うような顔でぼくのほうを見ていた。 式が終って、ぼくの家族もあわただしく九州に引き上げて行った。ぼくと小百合は、彼女の父親も含めて3人で、ホッとひと息入れていた。 新婚旅行は、子供が生まれて落ち着いてから、と決めていたので、あとの時間はたっぷりとあった。 ぼくの義父となった白鳥崇昭は、50歳になるが、初老の魅力にあふれていた。まどろむような瞳の童顔で、肉付きの良い顔はすこぶる血色が良かった。 彼は子供のとき重い難聴の病から、耳がまったく聞こえなくなった。それでも、口数は少ないながら話すことはできた。 小百合が席を離れたとき、ぼくは義父に言った。 「これからは、お父さんと呼ばせていただきます」 ぼくが頭を下げると、耳が聞こえなくても意味が分かったのか、義父はにっこりとほほ笑んだ。 (かわいい!)思わず義父を抱きしめたくなった。そして悪戯心を起こして、ぼくは言った。 「いずれはお父さんの素敵なお尻も、味合わせていただきます」 途端、義父は変な表情をした。 あとで小百合に耳打ちされた。 「気を付けなさい。父は読唇術ができるのよ」 そして付け加えた。「父にチョッカイ出すのは、少なくとも子供を2人作ってからにして」 |
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22/09/10 06:05 神亀
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