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(4)ハカチョン

その人物に出会ったのは、福岡支社に転勤して前任者と引継ぎの挨拶回りをしているときだった。
名前は岡田和義、東京に本社を置く企業の福岡支店、営業部長だった。
ずんぐりむっくりした固太りの体型、年の頃は50代の半ばくらいか。太い手足を見ると、柔道か何かやっていそうである。短くカットした胡麻塩頭や、大きく後退した額は、いかにも精力旺盛に見える。
岡田は人懐っこい笑みを浮かべて、私に話しかけた。
「榊原課長さんは立派な体格をされている。何かスポーツでもやられているのですか」
相手の日焼けした肉付きの良い顔を見て、私はさりげなく応えた。
「いえ、特にこれといって。ゴルフは少々やりますが、へたくそです」
「ご謙遜を。ではその内、ゴルフでお付き合いください」
それが岡田との付き合いの始まりだった。

私は会社重役の強引な勧めで、ある有力者の娘と結婚した。
妻はわがままかつ勝気な女だった。今回の転勤に際して、妻と二人の子供たちが東京に残ったのも、妻の性格からすれば必然のなりゆきだった。
実のところ、遠く九州の地で、家族と離れて一人暮らしをするのは、大いに歓迎するところだった。
私は年配の男性に、特別の思いを抱いている。
学生時代は男子寮の同室の後輩と、新婚生活のような関係を持った。その父親とも、ちょっとしたきっかけで漢(おとこ)の絆を結んだ。
しかし社会人になってからは、その方面のお付き合いは皆無だった。そうかと言って、発展場で束の間の快楽を得る勇気もなかった。

岡田部長から、お近づきの印に一献差し上げたい、と電話があった。
断る理由も無かったので、誘いに乗った。
連れて行かれたのは、和食の形式張らないこざっぱりした店だった。よく手入れされた白木のカウンターの向かいに、60年配の親父と70年配の小柄な爺さんがいる。どうやら二人だけで、店の切り盛りをやっているようだ。
岡田と私は、52歳と35歳という年齢差があったが、意外に話が弾んだ。それも岡田の形式張らない、ざっくばらんさに由るのだろう。
禿げ頭にチョビ髭を生やしたところは、ちょい悪小父さん風であるが、悪戯っ子のように輝く小さな目が、憎めない性格を思わせる。
岡田はすっかり私が気に入ったようである。それにアルコールが手伝って、親密感も露わに、私の身体をあちこち触る。

店を出たとき岡田は、「もう一軒どうですか?」と言って、私の手を握って歩き出した。肉付きの良い手で、意外なほど柔らかかった。
福岡支社に来たとき上司から、取引先との付き合いはほどほどに、と釘を刺されていたので、私は岡田に言った。
「部長、また今度ということにしましょう。今夜は失礼します」
「そうですか。では次回ということで――」
岡田はあっさりと引き下がった。
駅まで同じ方向だったので、岡田が先に立って歩き出した。大きな尻がもくもくと動いて、私の目を楽しませてくれる。
しばらく歩くと、岡田部長が振り返って、茶目っ気たっぷりに言った。
「榊原さん、ひょっとして私を追っかけてきました?」
「ええ、部長の手の温もりが忘れられなくて――」
とたん、岡田が朗らかに笑った。
「面白い人だ。ますますあなたが好きになりました」

その後も、岡田とは付かず離れずの付き合いが続いた。彼も東京に家族を残して博多に単身赴任だった。
私の会社は、取引先に発注する立場だったので、必然的に相手企業からの接待という形での会食やゴルフが多かった。
支社長は、取引先との馴れ合いを避けるため、接待を受けるのは最小限にしろ、と厳命していた。営業上どうしても必要であれば、こちらも経費を使え、ということだ。それで岡田との付き合いも、割り勘ということにしていた。

ある晩、岡田と二人並んで、夜の中洲をほろ酔い加減で歩いているときだった。通りの向こうから、夜目にも厚化粧をした芸者風の女がやってきた。女にしては大柄で、豊満な肢体を黒地にピンクの花柄模様の和服で包んでいる。
女はチラリとこちらに流し目を送って、通り過ぎていった。
岡田が言った。
「あれは中洲でも有名なオカマですよ」
「えっ、男なんですか!」
「騙されたでしょう。実際、あのオカマと寝て、最後まで女だと思っていた客も多い、と聞きます」
「――どうやって、ヤルんでしょうね」
「スマタですよ。男のほうは酔っぱらってるから、それに気づかず、ズコズコと致すってわけです」
「部長も寝たことがあるんですか?」
「バカな。博多の良識と言われている私が、まさかそんなことはしませんよ」
「でも、興味があるんでしょう――」
「榊原さん――今夜は、えらくスケベですね。ひょっとして、私の尻を狙っていません?」
「部長さえよろしければ、いつでもお借りしますよ。同じハカチョン同士ですからね」
ハカチョンとは博多チョンガー、つまり博多の単身赴任者を指した言葉である。

あるとき、上司の開発部長に同行して、岡田の会社の支店長を表敬訪問した。
河合支店長は60代、背が低く眉毛が薄い、お公家さんのように可愛らしい感じの男だった。
その夜、岡田と二人で飲んでいるとき、私は言った。
「おたくの河合支店長って、こう言ってはなんですが――可愛らしいですね」
「ああ、ヘチマ支店長ね」
「えっ、ヘチマ?河合支店長は、ヘチマのイメージじゃないけど、なんでヘチマなんですか?」
「洒落ですよ。ぶら下がって生きてるってこと」
「ぶら下がって生きてる?」
「後ろ盾がいるんです。本社の会長のお気に入りってこと」
「そんなことですか。ぼくはてっきり、股座にぶら下がってるモノかと思った」
「支店長はそんなにでかくない。どちらかと言えば短小だ。ははあ、課長、うちの支店長に惚れたようですな。だったら今度、支店長と二人きりになれるよう、セッティングしてあげますよ」
「部長、そんな無意味に、挑発的なことを言わないでくださいよ」

岡田との付き合いが重なるにつれ、私たちは徐々に本性――男好きの本性を隠さなくなった。私たちは二人きりでいるとき、「カズさん」「テッちゃん」と愛称で呼び合うようになっていた。
それでもまだ私は、控えていた。もし勘違いであれば、出過ぎた行動からお互い気まずい思いをすることになる。
しかし、そんな迷いが吹っ飛んだのは、ゴルフに行ったときだった。

岡田の会社とある受発注契約がなされたとき、河合支店長がゴルフの接待をしてくれることになった。こちらは開発部長と私である。
ゴルフでひと汗かいたあと、4人してゴルフ場の風呂に入った。
このとき、岡田の豊満な裸体を見て、衝撃を受けた。抜けるように色が白くて、肌理の細かい肌をしていた。とくに左右にでっぷりと張った双丘は、ふくよかな中にしっとりとした艶があって、思わず谷間に顔を埋めたくなるほどの、妖しい魅力があった。
河合支店長のぽっちゃりした裸体も、食指の動くところだったが、岡田の前では影が薄かった。
そして岡田も、私の股間を見て慌てて視線を逸らせたが、ふたたび視線を戻すのを、肌で感じていた。

次に岡田と飲んでいるとき、私は酔った勢いで言った。
「カズさん、最後にエッチしたの、いつです?」
「何を突然――そんなこと言ってると、テッちゃんのナニを、柱時計の振り子に使うぞ。この前、ゴルフ場の風呂場で見たけど、ずいぶんでかかったな」
「私もカズさんのでかいお尻を見て、思わず突っ込みたくなりましたよ」
岡田はそっと周りを見て言った。
「変なこと言ってるから、勃ってきちゃった」
「えっ?」
岡田の股間を見ると、ズボンの布地がてんぱっている。
私はそっと手を伸ばして触った。
「あらまっ、本当だ」
そのとき岡田が、年甲斐もなく恥ずかしそうに言った。
「テッちゃん、これから私の部屋に来るか」

岡田の単身赴任者用のワンルームマンションに行くのは、初めてだった。
部屋に入ると、性急に抱き合って、貪るように口づけをした。今まで自制していたものを、一挙に解き放ったような勢いだった。
ソファーに落ち着くと、さっそく岡田のズボンの前を開いて、性器を取り出した。ずんぐりむっくりした体型から、なんとなく太短いモノを想像していたが、先細りのすんなりとしたイチモツだった。
口と手を使って慰めてやった。感じやすいのか、岡田は太った身体を揺すらせて、善がり声をあげた。口淫しながら乳首を刺激してやると、ますます賑やかに善がりだした。
その後、シャワーで身体を洗って、ベッドで本格的に愛し合った。
意外なことに、岡田は男と行為に及ぶのは、私が初めてだった。
ネットや雑誌で男色の知識を得て、直腸の洗浄器やディルドを通販で買い、夜毎、一人で楽しんでいると言う。

「じゃあ、カズさんの処女をぼくにちょうだい」
私が言うと、岡田は何やら考えながら答えた。
「もちろんそうしたいけど、何か記念になるような形であげたいんだ。だから、今日はお預けね」
結局この日は、お互いの性器を口で慰めて、欲求不満を解消した。



9月は私の誕生月である。岡田は私のために特別プレゼントを用意してくれた。週末の二日間を利用して、私を二日市温泉に招待してくれたのだ。
宿は純和風の建物で、部屋数は10室限定のこだわりの旅館だった。中庭を挟んだ離れ部屋には、専用の露天風呂が付いていた。
さっそく風呂に入った。他の客が入ってくる心配がない。私たちは湯の中で抱き合い、口を吸い、お互いの性器をまさぐった。視覚と皮膚感覚と味覚を堪能したあと、風呂から上がった。
風呂での興奮を引きずったまま、豪華な和食料理を食べた。酒もうまかったが、後のことを考えて控えめにした。

寝具を整えて宿の従業員が部屋から退出したあと、いよいよ年配者の豊満な肉体を賞味するときがきた。
その前に、岡田は念入りに直腸を清めていた。
ムードを高めるために、布団の上で抱き合った。お互いの身体を愛撫しながら、口を吸い合った。
浴衣の合わせ目を広げ、乳首を刺激してやった。
「あっ!」
太った身体がピクリと反応する。腰帯を解き、胸からわき腹、突き出た腹へと手を這わせながら、衣類を剥いでいく。
岡田の元気印が、股間から頭を覗かせている。口に含んで、チュクチュクとしてやった。
「ああ、いい――」
早くも岡田は夢うつつ状態だ。

そしていよいよ、岡田の処女をいただく段になった。
岡田を四つん這いにして、脚を開かせた。張りのあるしなやかな双丘、うっすらと桜色に染まった谷間、その中心部に密やかなツボミが潜んでいた。
指を当てて、左右に押し開いてみた。
でっぷりとした尻にはアンバランスなほど、慎ましいオチョボ口である。それに年配者にしては驚くほど、初心なピンク色をしていた。
(大丈夫かなあ)
小ぢんまりとした蕾に、少し心配になった。指にオイルを付け秘孔にあてがうと、岡田が「ひっ」と喘いで、尻をすぼめた。
私は、はやる気持ちを抑えて、年配者の秘孔をじっくりとほぐしだした。
見た目と違って、意外にも包容力があった。指一本ならすんなりと呑み込む。
ほどなく指2本、そして3本入ったところで声をかけた。

「じゃあそろそろ、処女をいただきますね」
「優しく――優しくだよ」
「大丈夫。優しく入れてあげるから」
先ほどから肉壺にもぐり込みたくて、ウズウズしている我が分身に、オイルをたっぷりと付け、あてがうと力を加えていった。
「ああっ!そっと――そっとだよ」
岡田が喘ぎ声をあげた。
カリが変形するほど締め付けられたが、じんわりと呑み込まれていく。
途中、強い抵抗に会った。ヌプッヌプッ――何度も突き刺したあと、グッと強く押し込んだ。
先端がズルリと内部にもぐり込んだ。
「ひいっ!」
岡田の悲鳴。かまわず奥まで突き入れた。

時が止まったようだった。
岡田はシーツにしがみついて、息を押し殺している。まるで処女喪失の痛みを、噛みしめているようだった。
そして私は、全長を押し込んだまま、じっとしていた。
怒張した分身を押し包む腸壁を通じて、年配者の熱い息吹が伝わってくる。
しばらくして、私は緩やかに動き出した。
「ああっ――あああっ」
髭を生やした親父顔に似合わず、か細い声が聞こえてきた。
それでも内部が潤って、ぎこちない動きが徐々に滑らかになってくる。
心なしか、岡田の喘ぎ声も和らいできたようだ。
部屋の中に熱気が充満した――。

こうして私と岡田部長のハカチョン性活は、本格的に始まったのである。

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21/08/17 06:58 神亀

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