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(2)病みつき |
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私は男の逞しい道具に貫かれることが、病みつきになっている。
こうなるきっかけは、私の妻の兄、澤木幸太郎のせいだ。 澤木家は加賀藩の御用達を受けた金沢漆器の名家であり、私はその一族の三女を娶った縁で親戚となった。 澤木家の長男は政界に出たので、次男幸太郎が金沢漆器の工房を継ぎ、彼の蒔絵技術は業界でも一流と言われていた。そのいっぽう、幸太郎は若い頃からの遊び人で、幾度となく浮名を流していたが、それがどうしたことか遊び相手を男に変えた。芸術脳を持つ男にはゲイが多いと聞くが、彼もその御多分に漏れなかったのだろう。 私より一つ年上で、私たちは「兄さん」「ハルちゃん」と呼び合っていた。 私は富山に住んでいたが、ときどき義兄が金沢からやってきて、その夜は私の家に泊まった。それは妻が病で死んだあとも続いていた。 幸太郎が言うに、富山側から見た山並みが素晴らしくて、蒔絵の絵柄作りの参考になるそうだ。 しかし彼が富山に来る思惑は、他にもあった。 ある夜、2階に泊っていた義兄が、1階の私の寝室にやってきた。 当時、私はリビングに続く和室8畳間にカーペットを敷いて、ベッドと書斎机を置き、寝室兼書斎としていた。 「眠れないんだ。ハルちゃん、ちょっと楽しいことやるか」 部屋を訪れた義兄は言うと、突然私を抱きすくめた。義兄の身体からは、酒の匂いがした。 「あっ、兄さん!何を――」 私は抗ったが、義兄は私より大きな身体をしており、体力差では大人と子供ほどの差があった。 私は強引にベッドに押し倒され、口づけをされた。その間、逞しい手が私の全身をまさぐり、パジャマ越しに股間を刺激した。 「ああっ!こんなこと――兄さん、もうやめて!」 私は身もだえして抗議したが、一方ではウズウズとした性感も覚えていた。 それを感じ取って、義兄はほくそ笑んだ。 「ハルちゃん。口じゃ嫌だと言っても、ここを硬くしてるじゃないか」 義兄は私のパジャマを脱がしだした。私は何の抵抗もできず、裸に剥かれた。 「ほう、思った通りだ。ハルちゃん、きれいな体をしてるな」 あろうことか、義兄は、私の性器を口に含んだ。器用な舌がネロネロとくびれを舐め、竿伝いに湿った温もりが移動した。 (ああっ!いい――) こんなこと、生前の妻にさえしてもらったことがない。 急激に襲った快感の渦に、あっというまに呑み込まれた。私は抵抗の意思を失くして、義兄の口によってもたらされる快楽の世界を彷徨った。 その夜、私は生まれて初めて、男の口によって射精した。 妻が死んで以来、5本指を使って自らを慰めていた私が――。 呆然とした私に向かって、義兄は言った。 「さあ、ハルちゃん、今度は俺を楽しませてくれ」 義兄の性器は私のモノより、ひとまわり大きかった。そして性の遍歴を物語るように、カリが発達して禍々しい形状をしていた。 濃厚な牡の匂い――そしてしょっぱい奇妙な味がした。 肉根がみるみる膨張して、芯が通ってきた。義兄は私よりひとつ年上だが、性器の逞しさでは、遥かに若かった。 咥えているだけでも息苦しくなった。 それでも私は同性の強みを発揮して、義兄の感じるところを刺激してやった。 ふと気づいた。自分でも信じられないことに、男の息づく道具を咥えていることに、喜びを覚えていたのだ。 ――私が42歳、義兄が43歳のときだった。 その後義兄は、ほぼ2か月おきに富山にやって来て、その夜は必ず、私の寝室に忍び込んだ。 私もいつしか義兄の嗜好に同化して、男色を楽しむようになっていたが、ある種の後ろめたさはぬぐえなかった。 一人息子の良一は、素直な性格をして、よその親がうらやむほどの、よく出来た子供だった。万が一、その息子が自分の父親の変態的な趣味を知ったなら、どう思うだろう。 息子に知られることだけは、何としても避けたかった。私は義兄にも、そのことはきつく戒めていた。 義兄は来るたびに、ゲイ雑誌や男色用の大人の玩具を持ってきた。 ゲイ雑誌を初めて見たときは、若者のように昂った。巻頭のグラビアページに、熟年男性同士の絡み写真が、満載されていた。男同士のさまざまな性行為。口に咥えたり、尻に挿入したり――。 肝心の部分はモザイクが入っていたが、それでも接触部の様子は見て取れた。 こんな世界があるのは知っていたが、これだけあからさまに男色模様を示されると、義兄とやっていることも特殊なこととは思えなくなった。むしろ、男色行為も普通の行為と思えてくる。 いっぽう大人の玩具は、勃起補助クリームやコンドームのほかに、男性器を模した張り型や直腸の洗浄器があった。義兄は肛門性交用のものだと言う。 私はゲイ雑誌を見て肛門性交に興味を持ったが、私の潔癖症が障壁となった。 肛門を使うのは不潔だと思えたし、太い男根を後ろに受け入れることなどとても無理、と思っていた。 「だったらハルちゃん、張り型を使えばいい。直腸を洗浄して、小さいのから試してごらん。きっと病みつきになるよ」 「そんなこと――兄さんは、張り型を尻に入れてるの」 「ああ、だけど俺は張り型を卒業した。今は本物のチ〇ポを入れてるし、入れて貰ってもいる」 その夜、義兄は浴室で、直腸洗浄の方法を教えてくれた。そして寝室に戻ると、自ら四つん這いになって、菊座の弛め方を指導した。 「入れる前に、指を使って穴を緩めてやるんだ。肛門は伸縮性があるから、最初は固く閉ざしていても、辛抱強くほぐしていれば、指2本、慣れれば3本も入るようになる。そうなったら、いよいよホンモノの登場だ」 私は義兄に言われるまま、指を使って目の前の秘門をほぐした。異様な興奮からそれが不潔だという感覚をなくしていた。 皺が寄り添った噴火口のような秘門が、オイルにヌメヌメとした卑猥な輝きを見せ、私の指を呑み込んでいく。 使い慣れているのか、秘門はさほど時間をかけずに2本の指を受け入れた。 「よし、ハルちゃん、チ〇ポを入れてくれ」 義兄は尻を掲げて、脚を開いた。でっぷりとした幅広の臀部が左右に張り詰め、谷間の中心部に色づいた秘門があからさまに見えている。 私は極度の興奮にクラクラとして、腰を近づけた。オイルをたっぷりと塗りつけた分身を当てがい、ぐっと力を加えた。 ――驚くほど滑らかに入った! 「ああっ――いい――」 義兄の声が聞こえた。 私は性急に腰をうねらせた。内部はゆるくて締め付ける感触はなかったが、義兄の尻に入れているという興奮から、急上昇した。 「あっ――いく――」 さほど抽送していないのに、射精が起きてしまった。私は膝を震わせ、義兄の大きな背中にしがみついた。 私は義兄を相手に、世間で言う「オカマを掘る」行為をしたが、自分が「掘られる」ことには抵抗があった。 義兄は私の尻に入れたがったが、強くは迫ってこなかった。そして言った。 「ハルちゃんが嫌がるなら、無理には入れないよ。でもな、直腸を洗浄したり、張り型を入れて前立腺を刺激してやったりすることは、健康上いいことだぞ。 現に前立腺肥大症なんかの予防器具として、エネマグラという尻に入れる医療器具もあるんだ」 義兄はもっともらしく言ったが、私はあまり信用していなかった。それでも義兄に指導されながら、太い注射器のようなガラス器具で直腸を洗浄したり、小型の張り型を尻に挿入したりする行為に、異質の快感を覚えていた。 義兄は大中小、3つの張り型を用意していた。 その一番小さい張り型でも、尻に納めるのに苦労した。カリの太い部分で、直径2.5センチほどある。 それでも、入口より少し奥の肛門括約筋が押し広げられて、もう限界だと思ったところで、ふいにズルリと入ったとき、何とも言えない快感を覚えた。 私は凝り性の傾向がある。毎晩寝る前に張り型を尻に挿入した。開始して1週間ほど経った頃、こんどは中サイズ、直径3.5センチに挑戦した。 前のモノより太さ1センチの差は大きかった。あと少し――あと少し――なかなか納めきれなかった。 しかし、人間の身体は包容力があるものである。毎晩続けていると、いつしか中サイズを受け入れられるようになり、1か月後には、当初とても無理だと思っていた大サイズ、直径4.3センチもすっぽりと呑み込んだのだ。 義兄を初めて受け入れたその夜は、ある意味、私の人生の転換点だった。 私は仰向けになって両足を抱え込み、秘所を曝け出していた。義兄はベッドの縁に立ち、男の道具にオイルをたっぷりと塗り込めていた。 厚ぼったい胸、形よく突き出た半円球の腹、太い二の腕や太もも、ほの暗い股間から隆起した男根――記念すべき日に、それらを記憶に留め置くように、私は下から眺めていた。 義兄は私の尻を引き上げ、菊座にあてがうと、じんわりと入れてきた。 脹れあがった亀頭が細道を押し広げ、奥へと入ってくる。カリの部分で抵抗があり、そして――ズルリと入り込んだ。 「ああっ!いいっ!」 思わず声が出た。義兄は驚いたような表情をしている。あとで聞くと、私の小さな尻に入れるのはとても無理だ、と端から思っていたそうだ。 生身の男根を受け入れてから、すっかりその感触に病みつきになった。あれほど敬遠していたのが、ウソのようだった。 私は義兄が来ると、待ちかねたように身体を開いて受け入れた。一人の夜は、張り型を使って自ら慰めた。 もはや男色行為に対する違和感は、まったく失せていた。 それでもときどき理性が働いて、自分自身が恥ずかしくなってくる。それに用心していた――地方都市ではとかく噂が立ちやすいのだ。 ![]() 息子の良一が東京の大学に進学して、学生寮に入ることになったとき、私は同行して東京に行った。 学生寮で、息子と同室になる榊原鉄平という学生と会ったとき、なぜかときめきを覚えた。 若者は、義兄の幸太郎の雰囲気に似ていた。少し太めの大きな身体、話しぶりやちょっとした仕草を見ると、物事に動じないおおらかさを感じる。 このとき私は――恥ずかしいことに、この若者と同じ部屋で生活することになる息子が、うらやましいと思った。 翌年の夏、その若者が富山にやってきたとき、俄かに胸の動悸を覚えた。待ち焦がれた恋人を迎えるような気分だった。 息子の良一は不在だったが、私は家に泊ることを強く勧めた。そして家に迎え入れたあと、鮨屋に連れて行った。 食事の合間、私や店の親父に対する若者の態度に、何か特別の波長を感じた。 ――ひょっとしてこの若者は、年配の男が好きなのではないか? 俄かに心臓が高鳴った。 私は試しに、若者の腿をそっと触ってみた。 すかさず若者が、私の手を握り返してきた。 目くるめくばかりのその瞬間――私は本当に知ったのだ。 店を出るまでの時は、一種の夢見心地で過ぎていった。若者を見るたびに、私の胸ははげしく高鳴った。 その夜、私は若者とベッドを共にした。 若者は、見た目の純情さに関わらず、男色行為に習熟していた。 位置を探り当てると若者は、何のためらいもなく、ズグーゥと入れてきた。 「ひっ、ひいっ!」 その逞しさに喘いだ。太くて、硬くて、ズキンズキンと脈動している。 これが若さというものだろう。義兄の感触とは、まったく異なるものだった。 体内いっぱいに入り込まれた苦しさと、その裏腹の悦びに、私は目を閉じ、息を潜ませていた。 若者は深く入り込んだまま、伸び上がって、唇を合わせてきた。 目を開けると、すぐ前に若者の顔があった。澄んだ瞳が輝いていた。 私は若者の首にしがみついて、夢中で口を吸っていた。 体内に差し込まれた若々しい息吹を感じているのも束の間、若者がゆっくりと動き出した。張り詰めた肉棒が、腸壁を摩擦しながら行き来し、硬く締まった下腹が、私の尻を打った。 快感が増幅した。 「ああっ、ああっ、ああっ――」 尻の狭間を穿つ動きに合わせて、我知らず善がり声をあげていた。 動きが滑らかに、したたかに変化する。 ピストン運動に捻りが加わり、大きく力強く、浅く素早く、疲れを知らぬ肉根が私の体内で暴れまわる。 すっかり終わったとき、私は疲労困憊していた。 若者は濡れたタオルで、汗と体液を拭きとってくれた。それから優しく私の身体を抱いて、そっと口づけした。 「良かったです」 私はふと疑問に思ったことを口にした。 「君は良一と――こんなことを――」 若者はもう一度、口づけした。それから爽やかに言った。 「とんでもないです。ぼくが好きなのは、お父さんの方です」 |
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21/08/13 07:38 神亀
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