(これまでのあらすじ)
風間新之輔には重大な秘密があった。風間佳右衛門の長男として育てられるが、その実、当時の藩主首藤宗定の落し胤であった。新之輔が九つの時、屋敷に賊が押し入り、家族は惨殺される。ただ一人生き残った新之輔は、目の前で犯され殺された母や姉の姿が心の傷となって、成人してからのち女を抱けない身になっていた。
海滑藩主首藤頼宗に謀られて、藩主の叔父首藤宗顕を弑した新之輔は、逆に藩から追われる身となった。爺昌造の助けにより窮地を脱した後、医師の小壺芳美を伴って、豊後の海から長門の国へと向かう。そこで剣士羽山竜之進と遭遇し、闘いの最中に最愛の爺昌造を失う。
山陰道回りに流浪のたびに出た新之輔は、途中、鍜治師の大和須佐之介、永平寺の妙窓和尚、死んだ昌造の弟新造、熊野宮の円窓、と一期一会の親交を結ぶ。その間、海滑藩から差し向けられた忍者集団黒鉄衆と死闘を繰り返し、本庄宿河原の決戦で、新造とも離れ離れになる。
江戸に向かう風間新之輔は、栗橋宿の渡しで、賊に襲われる保科正之を偶然助ける。
江戸に入って医師小壺芳美と再会を果たした新之輔は、保科正之の命により、徳川御三家の一人、頼宜の動向を探る。その過程で、宮家東山宮宗顕や徳川頼宜の知遇を得る。
一方、海滑藩との関りが再燃する。藩主首藤頼宗が謎の死を遂げた。それを調べるうち、すべては先代の藩主首藤宗定の差し金ではないかと疑いを抱く。豊後の国に戻り、実の父宗定と対決しようとしたが、宗定の自害の場に遭遇する。
死に瀕した宗定は、真相を語った。――海滑藩を護るための非情な選択。
江戸に戻った新之輔は、羽山竜之進と雌雄を決する闘いに臨んだ。
