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4日目 |
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千秋は運転疲れが残っていたのか、この日は運転すると言わないので、昇が朝からハンドルを握った。
まず猪苗代湖を目指して走った。現地に到着すると、さすが日本の湖で4番目に大きいだけあって、海のように広かった。 しばらく湖畔沿いに走って、駐車場に車を止め、松林を歩いた。 「なんか朝から、尻の穴がモゾモゾするような感じがする。お前、わしが寝てる間に、悪戯しなかっただろうな」と千秋が言った。 「何を言うんだ。夜中に私のベッドに潜り込んだのは、叔父さんでしょう。それに不経済だよ、わざわざ部屋を二つにしていながら、結局はひと部屋で済んだじゃないか」 湖畔の道を走って、猪苗代磐梯高原インターチェンジから磐越道に入った。そのまま走り続けて、郡山ジャンクションで東北自動車道に乗り替えた。 このあと矢板インターチェンジまで走って、鬼怒川方面に行く予定だった。 車中、暇なので、二人は取り留めのない会話をした。 「青い山脈の吉永小百合は良かったなあ」 昇が思い出したように言って、千秋がその後を継いだ。 「あの映画はリメイク版が多くて、全部で5作あるんだ。最初の映画の主演女優は原節子、次は司葉子、吉永小百合は3作目だな。あとの2作は見ていない」 「叔父さん、良く知ってるね。私も映画好きだが、青い山脈がそんなにリメイクされてるとは知らなかった」 「邦画はあまり見ないのか」 「ああ、そんなに見ない。英語の勉強のため、洋画はよく見たけど」 「じゃあ、お前の映画通ぶりをテストしてやる。最初は『君の瞳に乾杯』だ」 すかさず昇が答えた。 「カサブランカ。ハンフリー・ボガートが酒場でイングリッド・バーグマンに言った言葉だ」 「きざな言葉だよな。お前、その言葉を真似して、何人の女をモノにした」 「叔父さん、下品なこと言わないの。じゃあ今度は私だ。アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー」 「スペイン語だな。さよならベイビーか。なんか聞いたな。ちょっと俳優の物まねで言ってみな」 昇が声色を使って言った。 「アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー」 「あ、ターミネーターだ。アーノルド・シュワルツェネッガーが敵をやっつけたときに言う言葉だ。地獄で会おうぜ、ベイビー、てな。たしか続編のほうだ」 「ピンポーン!さすが叔父さん、よく知ってる」 「よし、わしの番だな。サック・マイ・ディック」 「俺のチンポを舐めろ、だって。そんなのファックやシットと同じで、アメリカじゃよく使われているスラングだ。特定の映画ってことはないだろ」 「すまん、思わず言ってしまった。お前の言うとおりだ。たまたま、GIジョーの映画で言ってたのを、思い出した」 「そういえば昔、ディック・ミネなんて歌手がいたね。チンポのミネなんて、アメリカじゃ恥ずかしくて名乗れないよ」 「ああ、ディック・ミネは、巨根の持ち主だったらしいな。でっけえ、見ねえ、なんて解説する奴もいた」 「タイトルは忘れたけど、年寄りの主人公の名前がディックマン、という映画を見たことがあるよ。アメリカのどこか雪国が舞台で、主人公は除雪車を使って、殺された息子の仇をとっていくんだ」 「ディックマン。チンポ男か。確かに日本語にすると変だな。で、その主人公の爺さん、巨根の持ち主だったのか」と千秋。 東北自動車道の矢板インターチェンジで下りて、鬼怒川温泉目指して走った。 こちらの方面は、昇が東京で働いていた頃、ゴルフでよく来ていたので、もっぱら彼が案内役を務めた。 途中、鬼怒川に近づいたところで、昇がよく利用していた店があった。川魚料理を出してくれるソバ屋で、ここで昼飯を食べることにした。店の主人は息子に代変わりしていたが、店の見た目は昔のままだった。 大きなかやぶき屋根の下で、囲炉裏が数か所切られていて、鬼怒川沿いの外部にも丸太の椅子テーブルがあり、野趣あふれる雰囲気があった。 時期的に養殖物だが、子持鮎の串焼きがおいしかった。色の濃いソバも素朴な味わいがあって、昇はザルソバを5枚平らげた。 昼食のあと、東武ワールドスクウェアまで足を伸ばした。 ここは広い敷地に、世界の有名建造物のミニチュアが、25分の1の縮尺で展示されている。ここを一周すれば、お手軽世界旅行が出来るってわけだ。 世界の建造物の最後のほう、万里の長城のところで昇が言った。 「叔父さん、今度は二人で世界旅行をしようよ。とりあえずは万里の長城なんてどう?」 「中国は5回ほど行ったけど、今は駄目だ。あの国は、ますます国家統制を強めて個人の自由を奪っている。そんな国には行きたくない」 千秋は言ったあと、歩を速めて、次の日本のコーナーに向かった。そして改めて昇に言った。 「どうだ、今回の旅のように、もう少し日本を歩き回ってみないか。いいところは沢山あるぞ」 その日の宿も、昇が昔よく利用していたところだった。夫婦でやっている、民宿を少し大きくした程度の旅館だが、鬼怒川をすぐそばに見下ろせる野趣あふれる露天風呂と、心のこもった料理に定評があった。 昇が利用していた頃は中年だった夫婦も、今や初老を通り越して老人の域に入っている。 ころころと太った宿の主人が、昇を覚えていて、人の好い満面笑みで二人を迎えてくれた。 「これはまた磯下さん、素敵なお顔になられましたね。ますます男ぶりが上がりましたよ」 「そういうご主人も、貫禄がつきましたね。脂がたっぷりとのって、神戸牛より旨そうだ」 二人は抱き合って、再会を喜んだ。よほど昔は仲が良かったのだろう。 昇は、宿の主人に千秋を紹介して、荷物を持つとラウンジの椅子に腰をおろした。この旅館は基本、セルフサービスになっているのだ。 すぐに夫人が、湯気の立つコーヒーカップをふたつ持ってきた。 部屋の前に立つと、ふたつの荷物を持った昇の両手がふさがっていたので、千秋が部屋の鍵を開けようとした。ところが、なかなか鍵穴に刺さらない。 「畜生、手が震える」 「叔父さん、耐用期限を過ぎてるんじゃないの」 昇が荷物を床に置いて、千秋の手から鍵を取り上げながら言った。 さっそく宿の浴衣に着替えて、露天風呂に入りに行った。 丸い岩を組んだ湯船に、透明な湯が満々と湛えられている。すぐ下には水量豊富な鬼怒川が滔々と流れ、カヤで覆われた対岸には、ところどころ、醒めた灰色の大岩が横たわっている。 鬼怒川温泉の湯は、弱アルカリの単純温泉で、肌に優しいとされている。実際浸かってみると、滑らかな手触りがあって、無色透明、無味無臭である。 透明度の高い湯の中で、二人の白い肢体が目にまぶしいくらいだ。 「これはまた、豪快な露天風呂だな。まさに大自然の中にいるって感じだ」 千秋が湯の中の岩にもたれかかって、満足そうに言った。 昇が相槌を打った。 「そうですね。ここは10年ぶりに来たけど、自然の風物は変わっていない」 千秋が湯の中で手を伸ばして、昇の膝を掴んだ。 「二人きりで大自然の中にいると、妙な気持ちが湧いてくる。お前、こうやって博物館の爺さんを引っ掛けたのか」 昇が笑った。 「叔父さん、からかうのはやめてよ。そんなに太ももを触られると、立ってきたじゃないか」 「なに、もう立ってきた。まったくお前は72歳にもなって、精力絶倫だな」 そこで千秋は、体を寄せた。「お前が相手なら、男とでもキスができる。ちょっとキスをしてみるか」 唇をとんがらせてキスを迫る千秋から、昇は顔を背けた。 「叔父さん、やめてよ。誰かに見られてるかも知れない」 「誰も覗いていないよ。さあ、キスをしよう」 昇は叔父の顔を見た。少しためらって、唇を重ねた。 千秋の手が伸びて、ごく自然に湯の中で、昇のオトコを掴んだ。 ![]() 食卓に用意された料理は、フグの刺身と骨のから揚げ、それにてっちり鍋だった。 「ナトリウム塩化泉で養殖されたトラフグを使っています。どうぞごゆっくりと、召し上がってください」 宿の主人が説明して、引き下がっていった。 二人はまず、ヒレ酒で乾杯した。 「叔父さんの健康に乾杯!」 「昇の精力に乾杯!」 二人は健啖ぶりを発揮して、料理を残さず食べた。最後は、鍋に飯を入れ、卵をとじて雑炊にした。 「ふう、食った、食った。大満足だ」 千秋が膨らんだ腹を撫でながら、嘆息した。 部屋に引き上げたとき、千秋が言った。 「今夜は旅の最後の夜だ。記念になることをやるか」 「叔父さん、何をやるの」 「素っ裸になって、抱き合うんだ。まあ平たく言えば、男色行為をやるってことだ」 「私は経験者だけど、叔父さんはそれでいいの?」 「ああ。この4日間お前と一緒にいて、何となくそんな気分になったんだ。だけど、尻に入れるのだけは勘弁してくれ」 二人は全裸になって、ベッドの上で抱き合った。お互いの肌を愛撫しながら、キスをした。肌がしっとりと潤って、行為に熱が入ってくる。 いよいよ興奮してくると、思い切って69の形になって、お互いの性器を口と手で慰めあった。 切れ切れの吐息に、甘美な喘ぎ声が溶け合った――。 |
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20/07/25 00:36 神亀
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