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(2)別世界

男色の世界を知って、謹厳実直だった正ちゃんの毎日が、楽しくて冒険に満ちたものになりました。
ターくんに連れられて行った、ゲイバーの『アソコ』も新しい世界でした。
熟年の男色者だけが集まる特殊な店でしたが、店のマスターも客たちも、ごく普通の温和な人たちです。
マスターは皆にカンちゃんと呼ばれていますが、本名を槌谷寛二といいます。
サラリーマンから転職した、小柄で60歳を少し過ぎたくらいの男です。おしゃべり好きで、客たちをまったく退屈させません。
正ちゃんはこのマスターから、男同士の究極の愛の表現は、アナルセックスであるということを教えられました。

最初、それを聞いたとき、ええっ、そんなの信じられない、という思いでした。なにしろ、今や見慣れたターくんの大きな性器をお尻に入れることなど、不可能だと思ったからです。
正ちゃんがその考えを言いますと、マスターは笑って答えます。
「そこがシロウトの浅はかさ。人間の身体はよくできています。毎日訓練すればターくんのチンポだって、ひと月で収めることができます。なあ、ターくん」
正ちゃんの横で聞いていたターくんが、鷹揚にうなずきます。彼は先生に遠慮して、お尻に入れさせて、と言えずにいたのです。
最後にマスターは言いました。
「さっそく今夜から、ターくんに教えて貰ったら。レッスンワンだ」

正ちゃんはお尻の穴を初めて舐められた感触を、生涯忘れられないでしょう。
「あっ、あっ、ああーっ」
思わず声をあげっ放しでした。
器用な舌先が、ほっこりした窪みにひそむ皺の集合体を、チロチロと舐め、皺のひとつひとつを押し開きます。淡紅色の肉襞が、舌に刺激されて熱を帯び、ヌメヌメとした紅色に変わっていきます。
「あっ――ひいいーっ」
唾液で蕩けるように軟らかくなった秘肛に、舌がヌヌと侵入したとき、正ちゃんは軽いオーガズムを迎えていました。
そのあと、ラブオイルをたっぷりと使って、拡張作業が続けられます。
まずは指の腹でヌリヌリと蕾を押し揉まれ、ついで指の先がほんのちょっぴり、ヌッと入ってきます。遊んでいるように、ヌプ、ヌプっと指先を繰り返し入れます。油断していると、ふいにズヌヌーっと中まで入ってきました。
「ひっ!うわあーっ!」
正ちゃんは悲鳴を上げますが、そんなのは未知の恐怖から反応するもので、全然痛くない、とターくんは経験から知っています。
だから指を差し込んで、容赦なく拡張作業をつづけました。

次の日から、正ちゃんは自分の家でアナルアップの作業を始めました。通販で、直腸洗浄用のシリンジや潤滑オイル、大きさの異なるふたつのディルド、などを購入しています。
正ちゃんがこれほど熱心なのは、アソコのマスターがアナルセックスの良さを彼に吹き込むからです。(肛門には神経が集中してるから、チンポを入れられるのに慣れてくれば、すごい性感帯になりますよ)と。
そして1か月が過ぎた頃、ターくんのマンションに行きました。いよいよ処女喪失の日です。

まずターくんの舌と指による事前準備が、じゅうぶんに施されます。
そのあと仰向けになって、腰の下にクッションを差し入れ、お尻の角度が調整されます。次に両膝を抱え込んで、赤ちゃんのおむつ替えのような恰好をとらされました。
秘部を無防備にさらした格好になって、正ちゃんは恥ずかしさで一杯でした。
膝立ちになって覆いかぶさってくるターくんの姿が見えました。仄暗い股間から真っ赤に変色した男根が、にょっきりと突き出ています。
(無理――こんなの絶対に無理)
あれほどアナルアップしてきたのに、正ちゃんの心は最初から否定形でした。
オイルでトロトロに軟らかくなった蕾に、熱く、硬くなった亀頭部が押し当てられます。力が加わって、丸い先端部がヌッとめり込みます。
「ひっ!」(怖い――もう駄目)
口を開きかけた菊座がキュッと閉まって、それ以上の侵入を拒みました。

そのとき、ターくんの声が聞こえました。
「先生、わたしを見て」
硬く閉じた目を開けると、教え子の可愛らしい顔が微笑みかけています。その笑顔が正ちゃんの緊張を和らげました。
「先生、無理には入れません。さあ、体を楽にして」
ターくんは言って、再結合を試みます。
膨れ上がった先端をあてがうと、すぼまっていた肉襞がじんわりと広がってきます。まるで処女の蕾が、愛する男のために開花の兆しを見せるようでした。
じょじょに徐々に、張り詰めた頭が陰門を押し広げながら、進みます。
(ああ――入ってくる)ともすれば腰を引いて、逃げようとする気持ちを抑えながら、正ちゃんは息苦しさを耐えています。
性器の一番太いカリの部分が、肛門括約筋を通過しようとしたところで、ついに正ちゃんは我慢できなくなりました。
ターくんもそれを感じ取って、すっと退きました。
正ちゃんは自分の不甲斐なさに泣きました。それをターくんが優しく慰めます。
結局その日は失敗に終わりました。あと数ミリ、だけどその数ミリが大きな障壁となって、ターくんの愛の杖を収められないのです。

後日、何度かアナルセックスの試みをしますが、どうしてもターくんを受け入れることが出来ません。
ある晩、アソコのマスター、カンちゃんが二人に付き合って、ターくんのマンションに来ました。
正ちゃんが浴室でアナル洗浄していると、カンちゃんも裸になって同様のことをします。彼も仲間に加わって、お尻で受けるつもりのようです。
カンちゃんがターくんと関係しているのを知っていたので、正ちゃんはとくに動揺もしません。
カンちゃんは60歳くらい、体毛がなく、少年のようにすんなりとした体をしています。それでいて、艶やかな潤いがあります。小振りの丸っこいお尻がかわいらしく、陰毛はきれいに剃っています。性器は標準サイズですが、皮のめくれた亀頭部がプリッと張り詰めて、とても形が良いんです。

愛の交歓場面を他人に見られるというのは、面映ゆい気がします。カンちゃんの見ている前で、正ちゃんとターくんはおもむろに始めました。
抱き合ってのキス、乳首への刺激、むせぶように愛撫しあったあとは、シックスナインになって、お互いの性器を口に含み、情を高めます。二人とも、この日こそは、という強い思いがあるので、気持ちが入っています。
正ちゃんが四つん這いになり、ターくんの舌と指による挿入事前準備が終ると、いよいよドッキング開始です。
目いっぱい広げたお尻の狭間に、張り詰めた亀頭があてがわれ、軟らかい入口をグニュグニュと押し揉んだあと、ズググと侵入を開始します。いつもより滑らかに入って行く感じです。
あと少し――あと少し。そこで正ちゃんは泣き声をあげました。あと少しが、どうしても入らないのです。
「先生、泣かないで。ちょっと休憩しましょう」
ターくんが慰めます。

そのときカンちゃんが、ターくんに仰向けになるよう言いました。
それから黙って、ターくんの屹立した肉棒と自分のお尻にオイルをつけて、相手の腰にまたがりました。
正ちゃんのほうからは、太太しい陽根を握って、ゆっくりとお尻を沈めていく、カンちゃんの姿が見えました。位置を探り当て、なおもずり落ちていきます。
信じられない光景でした。子供のように小さいお尻の狭間に、極太の陽根が呑み込まれていくのです。小振りの双丘はすんなりと肌が張って、谷間の切れ込みに肉杭が打ち込まれた様は、なんとも刺激的な光景です。
「ううっ――はああっ」
一番太い部分が通過するとき、カンちゃんがわずかに喘ぎ声を上げて、息を吐きました。腹とお尻が密着しています。
なんとカンちゃんは、あんな大きな男のお道具を、自分の小さなお尻に収めてしまったのです。まるで正ちゃんに、ほら、こうやるんだよ、とお手本を示したようでした。

カンちゃんの身体が、ゆっくりと上下動を始めました。それにつれて、尻の狭間に食い込んだ陽根が見え隠れします。オイルと体液で濡れ光る太い肉杭、それをあんぐりと呑み込んだ肉襞、上下動につれ肉杭にまといついた肉襞が、外に引き伸ばされたり、内に押し込まれたりしています。
仰向けになっていたターくんが、繋がったまま上半身を起こして、カンちゃんの腰に両腕を巻き付けます。その姿勢で乳首を吸われたカンちゃんが、背中を反らせて伸び上がります。
二人の身体がリズムを合わせて、上下に揺れ動きます。息がぴったり合っていました。その姿は、性の儀式をやっているようでした。

小休止のあと、正ちゃんとターくんは、再び肛門結合に挑戦しました。
仰向けになって両膝を抱え込む正ちゃん。ターくんは、オイルで濡れた肉襞に、力を取り戻した己が分身をあてがいます。
「入れますよ」と一言断ると、片手を魔羅に添えて、ググッと突き入れました。カリの半分ほどが割り込むように埋まります。
(あ、もう――)ひるむ気持ちが、正ちゃんの中で頭をもたげます。でもここで逃げれば、元の木阿弥です。
そのとき、横で見ていたカンちゃんが、正ちゃんの両の乳首を摘まんで、刺激を与えました。その刺激が、つかの間、菊座の苦痛を忘れさせました。
ターくんは、その瞬間を逃しませんでした。半ば埋もれた亀頭を、一気に押し込みました。



「あっ!あああっ!」
鋭い痛みに、正ちゃんは悲鳴を上げました。
「あ」の形でとまった口を開けたまま、正ちゃんは息をひそめています。それに合わせて、ターくんも動きを止めて、正ちゃんの顔を見守っています。
「先生、とうとう入りましたよ」
正ちゃんは声も出せず、ただウンウンと頷いています。感動から目に涙が浮かんでいます。横にいるカンちゃんも、やったな、と言うように、優しく正ちゃんの頭を撫でています。
「じゃあ、あとはごゆっくり」
カンちゃんは立ち上がると、服を身に着け、部屋から出ていきました。

まるで体の中で、どんでん返しが起きたかのようでした。あれほどの苦痛が、男を迎え入れた悦びに変わっていました。ターくんの顔を見上げていると、甘えたいような、泣きつきたいような、微妙な感情が湧いてきます。
ターくんは、己が分身を入れたまま、じっとしています。陰茎の太さ、ウケの痛みを正ちゃんの体に、十分浸み込ませているようでした。
しばらくしていったん引き抜くと、オイルを補充して、再び挿入しました。
今度はさほどの苦労なく、完全に結合できました。
ゆっくり、ゆっくり、ターくんが腰を使いだしました。まるで暗闇を手探りで前に進むように――。

初めての肛門性交に、正ちゃんは気持ちがいいのか痛いのか、わからない状態です。それになんとなく、ウンチに行きたいような気分もあります。
でもそれ以上に、ターくんと結ばれた喜びのほうがはるかに大きいのです。
心もち顎を反らせ、口をわずかに開けたターくんの顔を見ていると、切ないほどいとしい気持ちが湧いてきます。
ターくんが小刻みに動くと、チュプチュプッと湿った音が聞こえてきます。
淫らで倒錯した世界です。
でも正ちゃんには、70歳で初めて知った喜びなんです。

ターくんの動きが、大きく、速くなってきました。今や彼は、自制の糸を切って思いのままに快楽を追求しているようです。彼は腰をうねらせながら、正ちゃんの下腹で縮こまった逸物をつかみ、刺激をあたえます。力なくうずくまっていた太短い老根が、少し力を蘇らせました。
突いて、揉んで、突いて、揉む――ズググ、ニュルル、ズルニュルン――後門を攻められ、男根をしごかれ、正ちゃんはどうにかなってしまいそうでした。
禍々しく膨れ上がった魔羅が、怒号をあげて腸壁を通過します。それはアナル初心者の正ちゃんには、ちょっと激しすぎました。
苦しい!でも――嬉しい!

やがてあの、息の止まるような感動の一瞬が、やってきました。
正ちゃんの老根から、男の精がピュッピュッと吐き出されました。
と同時に、キュウッと締め付ける菊門の感触から、先生がいったことが分かると、ターくんの興奮も最高潮に達します。
ズボンッ、ズグンッ、グニュニュニュ――激しく突き入れ、思いっきり奥まで押し揉みます。
ふいに、熱い腸壁に揉まれた肉根がグッと膨らみます。
「うっ」
ターくんが息を止め、その体がビクンと痙攣しました。
正ちゃんは教え子の身体を受け止めながら、迸り出た熱い精液が腸内で充満するのを感じていました。
円堂正一、70歳。初めて肛門性交を経験した、記念すべき夜でした。

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20/06/28 07:47 神亀

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