(2)
しばらくして、野本は逸物から口を離した。
「ふう、おまえのチンポはでかすぎる。顎が疲れるわ」
野本はベッドからおりると、部屋から出て行った。
戻ってきたときには、大島の手提げカバンを持っていた。野本はカバンを開けて、ロープと張形を取り出した。
「お前、こんな物、持ってきたのか?ははあ、俺に使って貰いたかったのやな」
「違うっ!」
「まあ、そうムキになるな。せっかく持ってきたんやから、たっぷりと使ってやる」
大島は急に不安になった。
(いったい、これから何をされるんだ?)
野本は一定の幅を持たせて、ロープを大島のひざ関節のあたりに縛りつけた。それから両足首を引っ張っていた紐を解いた。ついでロープの中ほどを持つと、ゆっくりと上に引っ張った。必然的に大島の両足も、大股開きに引き上げられる。
(――ぐううーっ、苦しい、なにをする!)
大島はもがいたが、両手を縛られている関係上、たいした抵抗もできない。
「ほれ、もうちょっと足を上げろ。抵抗すると、おまえのチンポをちょん切るぞ」
(冗談じゃない、チンポを切られたら、生きてる意味がない)
効果覿面の言葉だった。大島は即座に足の力を抜いた。
野本は引っ張り上げたロープを、大島の首にかけた。おむつを換えられる赤ん坊のように、なんともみっともない格好になった。
無防備に開かれた大島の股座の前に、野本が跪いた。
(何を始めるんだ?)
大島はますます不安になって、野本の様子をうかがった。
「ほう、いい眺めじゃのう。ケツの穴のとぼけ面がなんとも可愛いわ、どれ――」
尻の合わせ目を触られて、ビクッとした。
「怖がらんでもいい。すぐいい気持ちにさせたる」
太い指が、尻の谷間を行き来しだした。オイルでもつけているのか、ヌルッとした感触だ。ゆっくりと上下し、円を描くようにえどり、そっと爪を立てる。
(ぬあっ!やめろっ――あっ、ひいい!)
指から逃れようともがいたが、両足を開くようにロープで引っ張られて、抵抗のしようがなかった。
そのうち、妙な気分になってきた。
こそばゆさとは違う感触――。またイチモツが立ってきた。
「おまえ、チンポは図太くて愛想なしやけど、尻穴はけっこう可愛らしいやないか」
野本の指が、ゆっくりと菊門のまわりをえどり、皺をいやらしい手つきで揉みしだく。
(――ああ、やめて。変になりそう――)
「どや、感じてきたやろ。じゃあ、そろそろ、本当の悦びを教えてやるか。それ――」
図太い指が、ズニューッと入ってきた。
(――ぬあっ!やめろってば!)
「ほう、結構開いてるやないか。やはり爺さんの言ってた通りや。お前、よほど張形を使いこんでるな」
(昌三のやつ、余計な事を言いおって。あとで折檻してやる)
どす黒い怒りが沸き立ったが、大島はじっと屈辱に耐えていた。
「おっ、わしの指を、ククッと締めつけおった。こりゃ具合がよさそうだ」
太い指がグウッと奥まで入ってきて、指の腹が奥へ手前へと、いやらしい動きをする。
「どや、これが前立腺や。気持ちいいやろが」
「ぬあーっ、あ、あ、あ、あー。やめろっ!この、バカ!ただじゃ済まんぞ」
「おや、そんな憎たれ口を叩いてるところをみると、まだ感じ方が足らんようやな」
野本は、ますます指の動きを活発にした。
大島は悪態をつくのをやめた。なにか言えば、ますます増長されそうだった。
「ほれほれ、善がれ。そんなにいいか。じゃあこんどは指二本だ」
(うっ!くくく――)
痛くはなかったが、大島は苦痛を装った。このままでは、何をされるか分からない。
「ほう、まだおぼこ娘の穴やな。これじゃ太い注射もできん。もうちょっと拡げな、あかんな」
二本の指がグウッと入ってきて、尻穴を拡げるように、上下左右に押しつけられる。
(あふーっ、なんてことを――あうっ、あ、あ、ぬうっ!)
ようやく指が引き抜かれた。
大島は目に涙をにじませて、野本をにらんだ。
「こんなことをして、警察に訴えるからな」
「ほう、警察に駆け込むのか。裸にされて、さんざんおもちゃにされました。チンポを舐められたり、尻に指を突っ込まれたりしました。だから、県会議員を逮捕してくださいってな」
野本は、フフフと含み笑いした。
「経済学者、裸にされて男に弄ばれる、なんてニュース記事が目に浮かぶ。よーし、どうせ訴えられるんなら、今日は徹底的に可愛がってやるか」
野本はうそぶきながら、大島の足元で、なにやらごそごそしている。
(今度は何だ?)
首を伸ばして見ると、彼が持ってきた大人の玩具だった。
野本は、見せびらかすように、張形にオイルを塗りつけた。それから張形を大島の菊座にあてがい、無造作にズブズブと挿入した。
「ぬあっ!い、痛い!」
「そう、演技するな。いつも使い慣れてるだろうが。それに日本男子の標準サイズだ。そら、スイッチを入れるぞ」
体の中で、玩具がぶるぶると震えだした。ついで先端がくねくねと回りだす。
「ぬおおーっ、ああっ、あっ!」
野本は、肛門に玩具を深々と突っ込んだまま、大島の陽物をつかんで、ゆったりと扱いた。
「どや、気持ちいいやろが」
そのとき、事務所の方から、電話の音がかすかに聞こえてきた。
「なんや、電話か。ちょっと、待っとれ」
玩具を挿入したまま、野本は部屋を出ていった。
ひとりにされて、15分が経過した。
大島は妙な気分になっていた。ブルルル――と玩具の心地よい振動が腸壁に響き、下腹全体に伝わってくる。そのうち、腰が抜けるような気だるい快感となって、全身を覆い包む。
ようやく野本が戻ってきた。
バイブレーターのスイッチを切り、張形を引き抜いたとき、大島の目はトロンと潤んでいた。
「さあて、お嬢ちゃんのあそこはどんな具合かな。もう充分、ほぐれただろう」
野本は菊座に指をあてがった。触られた部分が、待ち焦がれたようにヒクヒクと蠢く。
グニュッと入れて、ゆっくりと抽送させると、肉襞が指にまとわりついてくる。
ついで指の先が曲げられて、入口の裏側の部分を丸くえどるように擦る。
(あっ、あっ、そこダメ!――ひーっ、変になりそう!)
大島は声にならない悲鳴をあげた。体が勝手に反応して、挿入された太い指をククッと締め付ける。
その道のベテランらしく、どうすればウケが感じるか、野本は熟知していた。今もじっくりと指を使いながら、相手の反応を見て舌なめずりしている。
「ほう、なかなか具合がよさそうやないか。そろそろ、本番といこうか」
野本が中腰になって、褌を外した。半勃起状態の陽物が現れた。皮がひん剥けて、まるで節くれだった松の根っこのように、禍々しい形状だ。
大島はギョッとした。
(冗談じゃない。あんなのを突っ込まれたら、弛んじゃう)
「やめろっ!バカやろう!そんなのを突っ込むな!」
にわかに騒ぎだした大島をなだめて、野本はのんびりと言った。
「まあ、そう騒ぐな。一度嵌められたら、病み付きになるぞ。痛くないように、オイルをたっぷりとつけてやる」
野本は、大島の足を掴むと、太った体重をかけてぐっと押しつけた。八つ裂きにされるように、股関節が左右に大きく押し広げられる。
野本はそのまま、右手に持った己が逸物を、秘門に近づけた。
「やめろ、やめろ、やめろっ!イヤだあっ!」
大島は激しくもがいた。
彼の抵抗もむなしく、先端が押しつけられて、グウッと入ってきた。
「ぐわあっ!あ、つうーっ!」
尻穴が、急激に押し開かれる。ついで腸壁を、ズグズグと押し広げながら、巨大なものが奥のほうに入ってくる。
「ぐああーっ!い、い、痛いぃー!」
大島の叫び声が、ひときわ大きくなった。
怒張した逸物が根元まで嵌入すると、大島が急に静かになった。
引き裂かれるような苦痛の後にやってきた、信じられないような快感。それに寸分の隙間なくツボに填った充実感だった。
あまりの気持ち良さに、大島は声も出なかった。
「くうー、締りが良いのう。お前のアソコは絶品だ。これからたっぷりと楽しませてもらうぞ」
野本は、いやらしい腰使いで、大島を犯しだした。逃げ場のない部屋の隅に追い込んで、ネズミをいたぶる猫のように、ネチネチと話しかけながら。
まがまがしく隆起した一物が、直腸を思いのままに突いて、濡れた卑猥な音をたてる。
ぬちゃ、ねちゃ、じゅぶぶぶっ――。
「ぬっ、ぬっ――どうや、どうや」
野本は呼びかけながら、拍子を付けて腰を突き出す。
いつしか大島の体は、野本の太い陰茎に馴染んでいた。と同時に、相手の動きに追従して、無意識に腰をうねらせている。
すっかり快感にのめり込んだ大島の様子に、野本はいったん引き抜いた。
ぐにゅーう――ずぼっ!濡れた卑猥な音がした。
野本は、もはや無抵抗状態の大島の身体から、いましめを解いた。
それから本格的に、愛の行為を始めた。
二人は合気道をやっているだけに、一旦、息が合うと、絶妙のハーモニーを奏でる。
――まるでバイオリン協奏曲のように。
静かな朝の訪れから、じょじょに昼間の喧騒へ、そして雷鳴轟く嵐へと突入する。
熱気が渦巻いて、甘い善がり声と野太い呻き声が絡まる。
はあーっ!いいっ!
ううっ!うおおっ!

あけぼの町の人間は、不思議に思うことがあった。あれほど反目し合っていた野本と大島が、仲良く一緒にいる姿が見られるようになったからだ。
経済学者の大島は、以前のような偉ぶった態度が影を潜め、どちらかと言うと控えめなそぶりを見せるようになった。それに気のせいか、ちょっとした仕草が、女性っぽくなったように感じられる。
一方の県会議員の野本は、相変わらずの不遜な態度だが、ほんのわずかばかり、父性を思わせる男らしい優しさを見せるようになっていた。