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義父のこと

明治生まれの父は、終戦後、裸一貫から働いて成功した実業家でした。それだけに、豪胆で、頑固で、そして克己的な努力家でした。体はやや小柄なほうでしたが、筋金入りの男らしい肉体をしていました。また一緒に風呂に入った時など、黒々とした陰毛の中から、ズル剥けカリ高のいかにも逞しそうな男の象徴がぶら下がっているのを、よく目にしました。
5人兄弟の長男だった私は父の厳しい躾を受けて育ちました。その反動があってか、私は父と正反対の優しい年配の男性にあこがれを抱くようになりました。
そして後年、今の女房と結婚してから、もう一人の父親となった義父は、肉体的にも性格的にも、私の実の父と正反対のタイプの人でした。ある意味、まさに私の本理想とするような人でもありました。
私はこの義父に淡い恋心を抱きながら、それをひた隠しにして、ずっと家庭生活を送ってきました――。

これまで私は、義父をテーマにした小説をいくつか書いてきました。今回は、私が退職したあと、義父と一緒に暮らした5年間のドキュメントです。小説とするのか、体験談とするのか。正直迷いましたが、義父が亡くなって一定期間が過ぎたことから、そのまま体験談としました。
多少の記憶違いはあるかも知れませんが、大筋は事実に基づく話です。


(18/06/18 22:33)
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