■ 男の隠れ家 - (2)
(2)
ひどい経験をしたにもかかわらず、ターさんの口調は淡々として穏やかだった。
初体験は苦痛を伴う衝撃的な出来事だったが、その反面、男に犯される異様な興奮も忘れられなかったと言う。
その後、複数の男性から手ほどきを受けたが、いつもお相手は、年配の男性に限定しているそうだ。
薄い眉毛と銀縁眼鏡の奥で輝くやさしそうな瞳――中でも淡いピンク色をした軟らかそうな唇が、俊郎の好き心を刺激した。
ターさんは話すとき、口をすぼめる癖がある。そんなとき、艶やかな唇に小皺がよって、それがぷっくりとした菊門を連想させる。見ているだけでも股座がムラムラと沸き立ってくる。
俊郎は相手をグッと抱きしめたくなる欲望をかろうじて抑え、場所を変えることにした。
男と逢い引きするとき利用している、1LDKのマンションに連れて行った。俊郎が所有する『隠れ家』だ。
部屋に入ると無言で抱き寄せ、眼鏡の奥の可愛らしい瞳をじっと見つめる。それから丸顔を両手ではさみ、そっと唇を重ねる。
ターさんは微かに喘ぎ、しっかりと抱きついてくる。半白の短い髪から、整髪剤の甘い香りがほのかに漂う。
俊郎は口づけしながら、背中から腰、尻へと手を這わせた。
ターさんはますますしがみついてきて、俊郎のズボンの前をまさぐりだした。生真面目な顔つきの割には、結構、積極的だ。
興奮が高まったところで、シャワーを浴びることにした。じらすように、服をゆっくりと脱がしてやる。現れたターさんの裸は、やや黄色味を帯びて染みひとつなく、幼児のように可愛らしい。肌の張り具合から見ると、すこぶる体調は良さそうだ。
薄い陰毛からピョッコリと突き出た仮性包茎の男根が、いかにも可愛らしい。
バスルームに行って、ターさんの全身に、シャワーのぬるま湯をかけてやった。それからボディーシャンプーを使い、背中から腰、臀部へと、手の平で洗った。
柔らかく閉じた双丘は、染みひとつなく色白で、合わせ目に指を這わせると、しっとりと咥え込む。
それだけで、俊郎の肉棒は、早くも臨戦態勢になった。
ターさんは進んでいた。
しゃがみ込んで、俊郎の股座に顔を近づける。
「すごい、こんな立派なものは初めてです」
ターさんのかすれた声がした。
かすかに息が陽根にかかる。
ついで、亀頭が湿って温かいものに包まれた。カリからくびれにかけて、舌がねっとりと絡みつく。温もりが棹伝いに、根元のほうまで広がってくる。それから咥えたまま、回転運動を伴って、ゆっくりとピストン運動を始めた。
いいっ――。
おもわず快哉のため息が洩れる。こんなに奥深く呑み込まれたのは、初めてだ。
ターさんは初心な見掛けによらず、相当なテクニシャンだった。口をあんぐりと開けて、いとも易々と太い肉棒を咥え、なおかつ舌をデリケートに絡ませてくる。
ターさんの口技を堪能した後、場所をベッドルームに移した。
ターさんは、うしろをきれいにしますと言って、しばらく浴室にいた。どうやら直腸を洗浄しているようだ。
俊郎は素っ裸のまま、ベッドの上で大の字になってターさんを待った。
しばらくしてターさんが姿を現した。全裸だった。
ベッドの上では、俊郎がサービスする番だ。行為の前に、ターさんの顔を見つめた。薄い眉毛と多少臆病そうな瞳、こぢんまりとした鼻とウブっぽい口元――。淡い照明に浮かび上がる穏やかな顔を間近に見ていると、ますます愛おしさが募った。
そっと唇を合わせた。
触れて、押しつけ、挟み、舌でまさぐった。なめらかな頬から耳たぶ、喉から乳首へと、口をつけて、ゆっくりとまろやかな起伏をたどりつつ、肉の弾力と芯のある柔らかみを賞味した。
ターさんが心地良さそうに息を吐く。
胸から腹へ、臍でしばしたちどまってから、ふっくらとした小丘をさまよう。健やかな陽根が、つつましやかに直立していた。
匂いを嗅ぐように、顔を近づけた。
包皮がめくれて、ピンクがかった坊やが覗いている。おちょぼ口の合わせ目に、一滴の透明な露を滲ませている。そっと口に含んで舌を這わせた。丸っこい膨らみが力を得て、ますます大きくなる。
熟れたマシュマロのような滑らかな感触――。
トロリとしたジュースが滲み出て、舌を潤す。多少しょっぱくて、おいしい。舌を絡ませて、チュウチュウと吸っていると、ターさんが歓喜の声をあげ、腰をうねらせた。
69の体勢で、俊郎も下腹部を相手に開放してやった。
待ちかねたように、柔らかい手が俊郎の肉棒を握る。先端が湿った温かいものに包まれ、器用な舌先がチロチロとくすぐる。ついで、たっぷりと唾液の分泌された口腔に呑み込まれる。
亀頭が喉奥の粘膜を押し広げる感触――。吸引器のように強く吸われながら、カリ首から根元まで、湿った温かみが行き来する。
ああ――いい!
逆さ絵になって、おたがいの魔羅を堪能しながら、ターさんの身体を腹の上に乗せ、四つん這いにして尻を観察した。
きれいな尻だった。シミひとつなく清潔で、かわいらしい。
双丘を押し開くと、少し色づいたウブな谷間があらわになる。おしとやかに小皺を集めた秘門のありさまを眺めながら、これまで何度となく通過したであろう、男たちの肉根に思いを馳せる。
引き寄せて、狭間に顔を埋めた。かすかになつかしいような、親密な匂いがする。楚々とした皺のひとつひとつを押し開くように嘗めると、ターさんが喜悦の声をあげた。かわいらしい尻が、よじれ、うねった。
舌を使いながらも、初心っぽい菊門が少し気がかりになる。これまで何度か失望したことがある。いざという時になって相手が痛がり、俊郎の男根を納めきれなかったからだ。
まず試掘してみることにした。指にラブオイルを塗りつけて、柔らかい秘門にあてがった。
あっ!――。
よほど感じやすいのか、ターさんの体がビクリと動く。肉門がヒクヒクと蠢き、ついで誘うように弛緩する。
すぐには入れず、入り口付近を揉みほぐすように指で撫でた。皺が引き伸ばされ、清潔そうな色合いをした粘膜がかいま見える。
ターさんが焦れて、誘うように尻をくねらせた。
要望に応えて、ゆっくりと力を加えた。なめらかに、指が呑み込まれていく。
ヌンメリ、ヌルリ――。
内部の濡れた粘膜が、吸い付くように指を押し包む。その感触を確かめながら、そっと指を抽送させた。
ゆーっくり入れて、ゆーっくり抜く――。
ああっ――いいっ!
ターさんが背中を反らせて喘ぐ。
ラブオイルを補充して、もう一本の指を参加させる。こんども抵抗なく呑み込まれていく。そのままググッと押し込んで、前立腺を軽くノックする。
ヌチャ、ニチャ、プチュ――。
指の動きに、湿った音が呼応する。指を咥え込むピンク色の秘門が、窪んだり膨らんだり、さまざまな表情を見せる。
ああぁ――。
ターさんの感に耐え切れぬ声。
時間をかけて菊の秘門を解きほぐした。見た目以上に柔軟な括約筋に、なんとなく安心した。これなら本番もうまくいきそうだ。
いよいよ合体の準備は整った。俊郎は起きあがって、ターさんをうつ伏せにした。
いきり立つ肉根にオイルをたっぷりと塗りつけ、窪みにあてがった。亀頭部を押しつけたまま、円を描くように入り口全体をマッサージする。先走りが滲み出て、やわらかい狭間をしとどに濡らす。
中心部に向けて、ゆっくりと力を加えていった。
ターさんの秘門は弾力に富んでいた。硬直した肉杭に押しこまれて、大きく内側に窪んだが、なかなか受け入れようとしない。
焦ると、ヌルッと上に滑る。
ターさんはシーツにしがみついて、必死に耐えている。
しばらく試してみたが、カリのところでどうしても入らない。
ターさんが身動きして、こちらを向いた。泣きだしそうな顔だった。それから仰向けになって、両膝を抱え込んだ。今度は前から試してくれという意思表示だ。
俊郎はためらった。これまで老けとセックスするときは、気楽なつまみ食い程度にしか考えていなかった。締りが良すぎて入らないなら、相性が悪かったのだとあきらめていた。
ところが、ターさんの表情は真剣そのものだ。結合するためには、裂傷も辞さずといった風情なのだ。
俊郎は、彼の一途な態度に、いじらしさを覚えた。
もう一度試すことにした。
潤滑油を補充し、開かれたターさんの秘門にあてがうと、じんわりと押し込んでいく。皺が押し伸ばされて、大きく内側に窪む。
ターさんはあごをのけぞらせ、目をしっかりと閉じて、健気にも耐えている。
「さあ、大きく息をして――」
俊郎は話しかけながら、ググッと力を込めた。
括約筋の伸びきったところで、亀頭部がズルんッと入った。
はああっ!
ターさんがくぐもった声をあげた。痛みよりも感激した声だった。
括約筋が雁首をきつく締めつけた。
亀頭が入ればあとの挿入は楽なはずだった。しかし俊郎は、そのままとどまって、ゆっくりと小刻みに動かした。しばらくウケの痛みを味あわせておけば、それだけ太さに慣れるのも早い。
「痛いですか?」
俊郎は小腰を使いながら、ターさんに聞いた。
「ええ――ちょっと」
「すこし休みますか?」
「いえ、続けてください。かまいません、もっと奥まで入れて――」
言われるまま、先に進めた。
先端が軟らかい温肉を、切り開いていく。刺激的な挿入感だった。突き進みながら様子をうかがうと、ターさんは目をしっかりと閉じ、息を潜ませていた。
ついに根元まで、きっちりと嵌まった。
俊郎は深く繋がったまま、ターさんに声をかけた。
「ああ――やっと入った――どう、まだ痛いですか?」
ターさんが目を開けた。涙で潤んでいた。
「大丈夫です。嬉しくて、痛さも感じません」
「かわいらしい人だ。じゃあ、つづけていいんですね」
ターさんが黙ってうなずいた。
俊郎は奥までズッポリと埋め込んだまま、慣らすように小刻みに動かした。ターさんの様子をうかがうと、口を半開きにしているが、その表情はいくぶん和らいでいる。彼が苦しみながらも、ウケを楽しんでいるのがわかる。
下腹部で快感が渦巻いた。ふくよかな双丘の谷間は、シルクのクッションのようにしっとりと受け止めていた。そして、内部に侵入した全長をぴっちりと覆い包む肉襞――力を奮い立たせるざわめきのような動きがあった。
俊郎は息を詰まらせ、めくるめく狂乱の世界に入り込んでいった。
いい――こんなのは久しぶりだ――。
むせぶように腰をうねらせた。最初はきしむような摩擦感があったが、じょじょに滑らかになってくる。
ズニュニュ、ニュプッ、ヌチャア――。
俊郎はターさんの表情を見守りながら、やわらかい窪みに肉矢を打ち込みつづけた。
あはあ――あはあ――。
ターさんが甘えるような善がり声をあげだした。可愛らしい口を半ば開け、閉じた目元がゆるんでいる。彼も良くなってきたようだ。
ヌチャ、ピチャ、ブチュ、ズブルル――。
内部が潤って、動きがますますなめらかになった。俊郎は往年の力を蘇らせて、大腰小腰で攻め立てた。
ターさんは俊郎の体の下で、悶えるように尻をうねらせ、乱れに乱れた。ついには感極まって、むせび泣きはじめた。
あはーあ――あう――あうう――。
ターさんのかわいらしい泣き声に勇気づけられて、俊郎はこの数年なかった充実を覚えた。肉根はビンビンに張りつめ、柔らかい肉襞の中で、ぐんと反り返るのが分かる。
興奮のままに、奥まで押し込んで、腰を回転させた。
ズニューッ――グニュニュ、グニュルン、グニュルル――。
あはっ!ひいいっ!
ターさんが鋭く喘いで、その身体が痙攣したように震える。
そのときだった――直腸の内部で刺激的な蠢きが始まったのは。
根元を咥える括約筋が、痙攣をおこしたように、クイッ、クイッ、と締り、ついで全長を押し包む腸壁が、ウネウネと脈動した。
ぬおっ!なんだ、これは!
危うく噴出しそうになるのを、必死でこらえた。直腸の微妙な蠢きは、長くは続かなかったが、その感触の余韻は圧倒的だった。気を取り直してターさんを見ると、失神したようにぐったりとしている。
夜は長い。ひとまず休憩することにした。