■ 男の隠れ家 - (3)
(3)
成り行きとはいえ、仕立て屋の息子と肉体関係を結んだ俊郎は、いよいよ本命の父親にとりかかった。
「熱海に、知り合いの経営する旅館があります。どうですか、骨休めに――」
注文したスーツが出来上がったとき、俊郎は仕立屋を誘った。
不安と期待の交錯した表情――主人が迷っているのが手にとるように分かる。
「専用の露天風呂がある離れの部屋です。誰にも詮索されずに、ゆっくりと休めますよ」
最後の言葉が、仕立屋の関心を惹いたようだ。老人は頬を染めながら言った。
「そうですか――そうおっしゃるのなら」
「じゃあ楽しみにしています。きっと後悔させませんよ」
俊郎は言ったあと、思いをこめて主人の腰に腕をまわした。
ところが仕立屋との温泉行きは、すぐには実現しなかった。仕事上の都合で、海外出張が入ったのだ。
仕立屋と熱海に出かけたのは、秋になってからだった。
旅館に着くと、さっそく部屋付きの露天風呂に入った。さほど大きくないが、岩組みの浴槽に透明な湯が満々とたたえられている。
先に湯につかっていると、仕立屋が裸になって、多少面映そうにやってきた。彼はお愛想笑いをうかべてお辞儀し、前を洗うと湯に入ってきた。
きれいな肌だった。しみひとつなく健康的な色白で、ぬめるようにしっとりとしている。手足は幼児のように頼りないのに、腰回りはふっくらとして、大人の図太さがある。薄い陰毛から頭を見せる肉根は、彼の息子のモノを見てなんとなく想像していたものと違って皮がめくれていた。それに標準サイズだが形が良い。
俊郎はすっかり好色な気分になって、すぐ行動に移ろうかと思ったが、ぐっと我慢した。
「どうですか、宿のご感想は」
湯の中で俊郎が訊くと、仕立て屋は顔をなごませて周りを見た。
「申し分ございません。こんな素晴らしいお部屋をとっていただいて、本当に有難うございます」
そのあと二人はのんびりと会話をしながら、時間をかけて湯につかり、そして体を丁寧に洗った。
俊郎は風呂からあがるまで、老人の裸をもっぱら視覚的に楽しんだ。
贅肉のついた脇腹のまろやかなふくらみ、しっとりとした丸っこい双丘、幼児のようにあどけない合わせ目――歩くにつれ、腰と臀部のつけ根の左右に、えくぼのような淡い窪みができて、いかにもかわいらしかった。
どんな体位で可愛がってやろうか――仕立屋の裸を観察しながら、俊郎の脳裏では、さまざまな痴態が渦巻いていた。
食事の後、ふたりはソファーに腰掛けて、しばし雑談した。向かいに座る仕立屋は、すこし緊張しているようすだった。金縁眼鏡の奥で、邪気のないつぶらな瞳が、伏し目勝ちに俊郎を見ている。
そろそろ行動に移る時だ。俊郎が立ち上がると、仕立屋がおびえたように見上げ、尻を横にずらした。その拍子に、浴衣の裾がはだけ、片方の太腿が剥き出しになった。
体毛のないマシュマロのような太腿を見たとたん、俊郎の頭の中で何かがはじけた。
彼は仕立屋の横に腰掛けると、黙って抱きしめた。ついで浴衣の合わせ目から手を入れて、胸を愛撫した。温かく柔らかい感触――心臓が高鳴った。
仕立屋は拒絶しなかった。ただじっと息を潜めて、俊郎のなすがままになっている。
俊郎は仕立屋の手を掴むと、早くも隆起した己が肉棒に導いた。手の平に押し付け、どうしたらいいか無言で教えてあげた。
小さな手がおずおずと握ってきた。その掌はとろけるように柔らかだった。控えめな指の動きに、俊郎の肉棒はますますいきり立ち、小さな手から大きくはみ出した。
情欲が高まると、仕立屋の浴衣を脱がせ、布団のところに連れていった。
まずゆっくりと唇を合わせた。そのまましばらく、柔らかい唇の感触を楽しんだ。息苦しいほど欲情してきた。
ぽっちゃりした体に覆い被さり、しっとりとした肌に手を這わせた。意外にも骨細の体だった。それでいて、絹のように滑らかで、指の先が埋もれるほどふっくらとしている。
仕立屋はうっすらと目を閉じ、いかにも気持ちよさそうな表情をしていた。ときおり小さな口から、ため息のような甘い声が洩れ出る。
無毛のぽっちゃりした太腿のつけ根を見ていると、欲望にくらくらしてきた。顔を近づけ、陽根を口に含んだ。滑らかで、清潔で、丸っこかった。
口の中で、陽根がむくむくと生命を蘇らせた。亀頭部は淡いピンク色に張りつめ、濡れて隠微に光っている。そのなめらかなボリューム感に、うっとりとする。唾液をたっぷりとまぶして、先端から根元まで、思いを込めて呑みこんだ。
あはあ――ああ――。
仕立屋があえぎ、小太りの体にさざなみが走った。
相手の両脚を開いたまま、押し上げた。そのままの姿勢で、無防備な股倉に顔を埋め、可愛らしいタマ袋を口に含んだ。ついで、蟻の門渡りの柔らかい皮膚を伝い、ひっそりと息づくツボミを舐めほぐし、押し広げた。
皺の集合体はぷっくりとして、恥じらうようなピンク色をしていた。そこが弛緩してくると、舌の先をとがらせて、皺を広げながら押し入れた。
ヌリ、ヌル、ヌン、ヌッ――ズッ、ズニューウ――。
ひえっ!あああ――。
仕立屋が愉悦の喘ぎ声をあげた。
場所を夜の露天風呂に移した。
もう一度、唇を合わせてムードを高めた。もはや仕立屋は羞恥心を忘れ、自分から積極的にしがみついて、熱情的に唇を押しつけてくる。
舌と舌をからめ、唾液をむさぼりあった。
しばらくして、俊郎は立ち上がると、大股開きで岩の縁に腰かけた。
仕立屋は言われなくても、やるべきことが分かっていた。俊郎のまえにうずくまって、股間に顔を近づけた。
半立ちの男根に唇が触れ、舌がまとわりついた。
意外にも慣れていた。器用な舌先がチロチロと舐め、くびれにそってまといつき、舌先でねぶり、吸い込み、ねっとりと抽送させる。
しかし、彼の小さな口には、ハンディキャップがありすぎた。全長を呑み込もうとしたが、せいぜい三分の二程度が限界だ。何度か喉を詰まらせて咳き込んだ。
そこで仕立て屋は作戦を変えて、指を使い出した。男根や睾丸を舐めながら、蟻の門渡りから肛門へと、じんわりと指を這わせてくる。
これは効いた。じわじわと押し寄せる快感に、俊郎の欲情が募った。
風呂から出ると、いよいよ仕立屋の後ろに押し入ろうとした。
仕立屋はおとなしくうつ伏せになり、尻をかかげて俊郎を待っていた。ぽっちゃりとふくらんだ色白の双丘。そこを押し開くと、ひっそりと息づく小さな菊の門。オイルを塗られて、卑猥に濡れ光っている。
嵌めることが出来るのだろうか、という心配よりも、極度の興奮にくらくらしてきた。
開かれた尻に押し付け、性急に突き入れようとした。密やかな開口部は、可愛らしい見た目に反して、包容力があった。張り詰めた先端がズブリと入った。
はあーっ!あっ――ああっ――。
仕立屋がするどく悲鳴をあげ、枕に顔を埋めた。
極度に興奮した俊郎は、年配者への配慮も忘れて、左右に開いた尻を引き寄せながら、直情的に突き入れた。
仕立屋の苦しそうな様子にもかかわらず、挿入行為そのものは、意外なほど滑らかだった。
ついに根元まで嵌まった。
ふたつの肉体の結合部分で、これまで味わったことのない快感が渦巻いた。怒張した肉棒の全長を、温かい肉の管がぴっちりと押し包み、締めつけ、微妙な蠕動を繰り返している。
まさに名器だった。
俊郎は無意識に、仕立て屋親子の味の違いを比べていた。息子の和幸は、ムチッとした固太りの弾力と、痛いほどの締め付けが刺激的だった。それに比べ父親のほうは、精妙な肉壺に突き入れたような、熟成した味がある。
まさに『男は、年を取ってくるほど美味しくなる』である。
仕立屋は枕に顔を押し付け、息をひそめてじっとしていた。
すこし引き抜いて結合部をのぞき見ると、肉棒に淡紅色の粘膜がまとわりついている。
あわてて根元まで押し戻した。
ゆっくりと抜き差しした。
ニュプッ、チュボ、ジュブブッ――。
濡れた卑猥な音がした。それとともに仕立屋があえぎ声をあげだした。
あはあっ――あはあっ――ああっ――。
仕立屋の艶かしい喘ぎ声が、断続的につづいた。
俊郎はその声に励まされるように、腰をうねらせた。
途中で体位を変えて、正常位で結合した。
挿入角度が変わって、こちらのほうが仕立て屋にとって気持が良いらしく、俊郎の一突き一突きに、可愛らしい声で泣き出した。
深く結合したまま上体を倒して、仕立て屋の口を吸った。仕立て屋が、小さな舌を絡めてくる。
体を密着させたまま、腰だけをうねらせて、大きく抜き差しした。仕立て屋が空気を求めるように口を開け、目を閉じた。その表情は極度の快感に、声も出ない様子だ。
精妙な肉と粘膜の溶け合った柔らか味が、包み込み、締めつけた。
俊郎はますます奮い立ち、柔らかい粘膜の管を穿ちつづけた。
とぎれとぎれの息遣いに、密やかなあえぎ声、熱情が集積してくる。
ああ、もうすぐ――不意に痛切な脈動が襲った。そして、激しく迸らせた。
どくん、どくん――鼓動までも聞こえてきそうな、充実した射出感だった。