| 戻る / 目次 / 次へ |
第4話 騙された男 |
|
朝からなんとなく胸騒ぎがしていました。
それでも、昼休みのとき、若手社員を相手に剣道でひと汗かいて、シャワーを浴びると、すっきりとした気分になりました。 奈井須凱(ないすがい)は50代半ば、御居処(おいど)カンパニーの営業部長で、皆から信頼されている真面目で律儀な男です。それに、子供の頃から剣道をつづけているおかげで、姿勢の良い立派な体格をしていました。 今日は夕方から、取引先との会食が予定されています。 予定の時刻になって、凱は部の社員に声をかけました。 「じゃあ、これから行ってくる」 「あ、お車を呼びますか」 「大丈夫。今日はお客さまの車だ」 ビルの玄関先に行くとすでに取引先の車が待っていました。老いたプロレスラーのような体格をした運転手が、凱のために後部ドアを開けてくれます。 凱は175センチありますが、この運転手はそれ以上に大きいのです。 車の中で、満面の笑みが凱を出迎えてくれました。 阿礼会長――この老人を見ると、口にこそ出しませんが、凱はいつも和尚さんを思い浮かべます。でっぷりと肥って、艶やかな禿げ頭と、仏さまのように柔和な顔立ちをしています。 凱は腰を下ろしながら、会長に微笑みかけました。 「すみません、お待たせしちゃって」 「いえいえ、まだ約束の時刻前ですよ」 会長が言って、いかにも親密そうに凱の手に、自分の手を重ねました。 車中でのんびりと会話していると、ふいに軽い衝撃がきました。 すぐ前には黒塗りの大型車が止まっています。中から黒服を着た、いかにもその筋の男たちが出てきて、こちらの車を取り囲みました。 「すみません、うっかりしてぶつけちゃいました」 老運転手が申し訳なさそうに言いました。 そのあとは万事が目まぐるしく動きました。車に乗っていた3人は、男たちにせき立てられて、近くにある大きな屋敷に押し込まれました。 老運転手は別室に連れていかれ、凱と阿礼会長は奥の座敷に通されます。 部屋には白髪の老人がいました。日本刀の手入れをしています。 (真剣だな。しかも刃をつぶしていない) 剣道をやっている凱は、即座に見抜きました。そしてゾッとしました。 (いったい、これから何をされるのか――) 老人は黙って黒服の男の報告を聞いていました。どうやらこの老人は、危ない筋の親分らしいのです。聞き終わると、老人は鋭い目付きで凱たちを見ました。それから静かに口を開きました。 「あんさんたち、まずいことをしてくれたな」 阿礼が、神妙な口ぶりで返答しました。 「申し訳ないことをしました。すぐ保険会社を呼びます」 「保険で済むことやないっ!」 鋭い叱責に、凱はすくみあがりました。 「金の問題じゃないんや。お前たちの誠意を見せてくれ」 「は?誠意とおっしゃいますと?」 「見たところ、あんさんたち、いいコンビしてるやないか」 「――」 「面白いもん見せてくれや」 「――面白いもんとおっしゃいますと?」 と阿礼会長が訊きました。 凱は白髪の老人と阿礼会長のやりとりを聞きながら、ふと思い当たりました。 (今朝の胸騒ぎは、このことだったんだな――) そのとき、親分は奇妙なことを言いました。 「お前たち、わしの前でアレをやってくれや」 「はあ?」 阿礼会長と凱が顔を見合わせていると、ふたりの耳に、老人の声が聞こえてきました。 「男同士がヤルのを見るのは久しぶりや。さ、シャワーを浴びて準備してこい」 (なんでそんなことしなくちゃならないの) さすがの凱も抗議しようとしました。 と、そのとき、どこからか老運転手の悲鳴が聞こえてきました。 「んぎゃーっ!ああっ、許してくださいっ!痛いーっ!」 阿礼会長が、思わず凱の腕にしがみつきました。そして性急に言いました。 「奈井須部長、言われるとおりにしましょう」 うす暗い寝室のベッドの上で、凱と阿礼会長は全裸になっていました。脇の椅子では白髪の老人が腰掛けて、期待に満ちた目でふたりを見ています。 まず阿礼会長が、凱の股間に顔を埋めました。 やわらかい手が凱の逸物をつかみ、湿った温もりが先端を覆います。 「ああっ!」 意識とは裏腹の快感に、凱は思わずあえぎました。 意外にも、会長は慣れた仕草で口淫を続けています。ぽってりとした唇に呑み込まれて、先端に舌がねちっこく絡みつき、カリの膨らみから茎につながる窪み、それから鈴口へとねぶります。 器用な舌とやわらかい口腔の感触に、凱の欲情は急上昇しました。いつしか彼は目を閉じて、自ら腰をうねらせていました。 阿礼会長が四つん這いになって、迎え入れる体勢をとったとき、凱はすっかり野生の本能をたぎらせていました。男色行為は未経験でしたが、どうやればいいか男の本能でわかります。 (ここまでくれば、相手が男だって構やしない――) 彼は固く膨れ上がった自分の逸物を握り、会長の股間に近づけました。ぬめっとした軟らかそうな蕾にあてがい、ゆっくりと腰を押しつけていきます。 ブルブルと打ち震えるイチモツが、小さなふくらみを割って入りました。 「あっ、あ――」 会長が顎をのけ反らせ、そして静かになりました。 内部の熱く滑らかなものに包まれたとたん、凱は何も考えられなくなりました。ただ遮二無二、柔らかい細道を突き進みました。 「うわあっ!ゆっくり――ゆっくり入れてえ」 会長の苦しそうな声が聞こえてきましたが、かまわず奥まで突き進めます。 完全に入り込むと、信じられないほどの充足感を覚えました。 (男でもこんなに具合がいいんだ) 新鮮な驚きでした。会長の内部は、これ以上ないほど柔らかく、彼の全長をぴっちりと締めつけ、粘膜を通して温かい息吹がじかに伝わってきます。 ![]() そのとき、自分の尻の狭間に人の手を感じました。結合したまま背後を見ると、いつのまにか裸になった親分が、凱の尻を触っていました。 「わしに構わず、続けてくれ」 老人は言うと、いやらしい指使いで凱の尻の狭間をまさぐります。指先にオイルでも付けているのか、ぬるぬるした感触です。 (うわっ!なに、これ――) 構わずやれ、と言われても、気が散ってできません。それまで会長の菊座を力強く押し開いていたモノが、萎えて、腸圧で押し出されました。 「なんや、若いのにだらしないのう。よし、わしが元気付けしてやる」 親分が言って、凱の中心部にヌッと指を突き入れました。 (ぬあっ!やめて――) 指が傍若無人に抽送運動を始めました。 そのうち、壮年の肉棒が、ふたたび力強く脈打ちだします。凱は気を取り直して会長のやわらかい後ろに入れ、ゆっくりと腰を使い出しました。 「あ、いい――あはあ」 会長が善がり声をあげだしました。 その声を耳にして、壮年男のしたたかな経験が蘇ってきます。凱は、自分の尻穴を指で貫かれたまま、ピストン運動を続けました。 ゆっくりと先端まで引き出しては、ゆっくりと押し込み、そして素早くつつきます。 「ああっ――あはあ」 阿礼会長は夢うつつ状態で、善がり声をあげています。 凱は、ふつふつと湧き出る、無尽蔵の精力を感じました。と同時に、すっかり好色な気分になっていました。自分の菊座を押し広げる、親分の指もまったく気になりません。 彼は抽送を繰り返しながら、会長の耳元に口を近づけ、ささやきました。 「会長、すごくいいですよ――まるでイソギンチャクのようです」 内部が収縮したのはそのときでした。 隆起したイチモツを包み込む腸壁がキュウッと締まり、少し間があって、ふたたび握り締めてきました。 このふいうちに、凱はあやうく達しかけましたが、下腹に力を込めて、かろうじて射精をこらえました。 そのとき、親分の声が聞こえてきました。 「久しぶりに勃ってきた。わしも仲間に入れさせてもらうぞ」 菊座に張り詰めたものが押し込まれるのを感じて、凱はぎょっとしました。まさか自分がお釜を掘られるとは、思ってもいませんでした。 彼があわてて逃げようとすると、ドスの利いた声がしました。 「わしに逆らってみろ、お前のチンポを切り取るぞ」 決定的な言葉でした。凱は動きを止め、おとなしく受け入れるしかありませんでした。 太いモノが傍若無人に入ってきました。唯一の救いは、老人のモノが柔らかいので、さほど苦痛ではなかったことです。 やがて、入ってきたものが、内部でゆるやかに動き始めます。 奇妙な感触でした。まるで腸内の空気が圧縮されるような感じです。と同時に、妙な気分になってきました。まるで自分が女になったような――。 「いい――自分、いい穴してるやないか」 老人の声が聞こえてきます。でもその逞しさは、長くは続きませんでした。侵入していたモノが急に力を失ったと思うと、にゅるっと抜け出しました。 親分はそれでも満足したようです。 「よし、若いの。年寄りを悦ばしてやれ」 仕切り直しで、凱はもう一度、阿礼会長と結合しました。今度は、正上位になってお互いの顔を見ながらやりました。 ゆっくりと抽送していると、内部がいっそう潤ったようです。しっとりとして、動きが滑らかになりました。 「ああ――いい――いいよ」 会長の温顔が、波にたゆたうように揺れています。その顔を見ていると、会長に対する深い愛情を覚えます。 凱はもっと深く入り込もうと、腰を強く押し付けました。 動きは速く、速く――。 高みの頂で、膨張しきった先端から、命の精が噴き出しました。 会長の体の中にたっぷりと注ぎ込みながら、凱は、この上ない幸せを感じていました。 (ああ、いい――これは癖になりそうだぞ) はい、皆さんは、もうお気づきになりましたね。 そうなんです、これは親分が、阿礼会長の頼みで一肌脱いだ、お芝居だったのです。それにしても、老運転手を巻き込んで、彼の悲鳴まで聞かせるなんて、ちょっと念が入りすぎていませんか。 |
|
18/04/19 06:05 神亀
|