■ 異国の地にて - Fred74
Fred74
ニューヨークに戻った私は、相方のいない、文字通り独り身の生活を送っていた。ボブは他企業に移籍して、彼とも疎遠になっていた。
そんなある日、トロントのグレンが、私の住むアパートを訪れた。ニューヨークには仕事で来て、ついでに寄ったのだと言う。
さっそく私たちは、慌ただしいセックスをした。オーラルセックスだけの短いひとときだった。私はもっとじっくりと、グレンの豊満な肉体を味わいたかったが、彼は今夜、カナダに戻らなければならないと言う。
名残惜しさに、私はレンタカーでグレンを空港まで送ってやった。グレンは大きな体をしていたが、物静かで、一緒にいて安心感を抱かせる男だった。
空港でグレンと別れて駐車場に戻る途中、偶然にもレニエとばったり出会った。彼は旅行鞄を持っていて、旅先から戻ってきたところのようだ。
なつかしさと彼の肉体に対する欲望が募った。私を見て驚くレニエを強引に、車に引っ張り込んだ。
車中、私に問われるまま、レニエは言葉少なに話しだした。ボストンからの出張帰りだということ、現在ニューヨーク郊外に住んでいること、老人と同棲していることなど。
車が郊外に出ると、大きな空地の片隅に駐車した。それからレニエの体を引き寄せ、有無を言わさずキスをした。レニエは抵抗せず、従順に私の唇を受けていた。
数時間前にグレンとセックスしたばかりだが、レニエの肉体に楔を打ち込みたくなった。しかし車の中では具合が悪い。結局ズボンの前を開いて、レニエにくわえさせた。
湿った暖かいものに包まれて、心地よい快感が下腹部を包み込んだ。グレンを相手に射精した後だったので、最後まで到達しそうになかった。
レニエの様子を見ると、目を閉じて、昔を懐かしむようにうっとりとした表情で、隆起したペニスに舌を這わせている。なめらかで温かい感触――私はいつしか、レニエと過ごした日々を思い出していた。
最後まで昇りつめない穏やかなセックスを楽しんだ後、レニエを家まで送ってやった。
私は別れ際に言った。
「アパートに戻ってこないか」
レニエはうつむき加減に、首を横に振った。
「ボブのことは悪かった。もうあんなことは二度としない。だから――」
レニエはフッとほほ笑んで、「ありがとう」とひとこと言って、そのまま家に入った。
彼の感謝の言葉が、送ってもらった事に対してなのか、それとも私が誘った事なのか、釈然としないまま私は帰路についた。
それから二週間ほど経った週末、どうしてもレニエが忘れられなくて、彼の住む家を訪問した。昼間見ると、赤屋根の小奇麗な一戸建ての住宅だった。
チャイムを押したが誰も出てこない。あきらめかけた時、ようやく出てきたのは70代と思われる老人だった。タオル地のローブを身につけている。白髪でスリムな体つき。青緑色の瞳が、この上ない優しさをたたえている。
レニエは居るかと尋ねると、老人は値踏みするように私を見て、レニエはカナダの母親のところに行っていると告げた。それから私に問いかけた。「ノボル?」
私がうなずくと、老人がニッコリと笑った。思わず引き込まれるような笑顔だった。
「フレッドだ。せっかく来たんだから、中に入りなさい」
老人は、私を家に迎え入れた。老人の後ろを歩いているとき気づいた。髪が濡れていて、ローブの下には何も着ていないようだ。おそらくシャワーでも使っていて、大急ぎで出てきたのだろう。
整頓の行き届いた、感じの良いリビングだった。昼日中にもかかわらず、老人はワインを持ってきた。
「私のことをレニエが話しましたか」
ワインを飲みながら、私はたずねた。
「ああ、レニエは私に何でも話してくれるからね。今もって彼は、あなたが忘れられないようだ」
老人は私に向って、いたずらっぽくウインクした。「さぞかしあなたは、立派なディックを持ってるんでしょうな」
私は、レニエと老人の関係に興味を持った。レニエはウケ一筋だとすると、老人はタチ役をこなしているのだろうか。
そこで私も、冗談っぽく訊ねた。
「あなたこそ、元気の良いディックを持ってるんでしょう?」
私の言葉に、老人が笑みを返した。それからおもむろに話し出した。
「私はリタイアした大学教授で、レニエは教え子なんだ。彼は非常に頭の良い、ナイーブな学生だった。私はそんなレニエを心身ともに愛したが、彼にとって私は、愛人と言うより父親の存在に近いかな。それにもう年だから、満足に立たせることもできない。私自身もずっと前に、ボトムに転じたんだ。だからレニエとは、たまにオーラルセックスを楽しんでるが、ファックはしていない」
老人は誘うように脚を開いた。ガウンの裾がめくれて、無毛の白い太もも、奥の暗がりに生白いペニスが見えた。
私は魅入られたようにそれを見た。そのあと、私たちはどちらからともなく抱き合い、キスをした。
フレッドは、70過ぎの老人とは思えないような、きれいな体をしていた。体毛の薄いすんなりとした肉体、シミの少ない白い肌――。
厚いカーテンを引いていたので、ベッドルームは日中にもかかわらず薄暗かったが、それがかえって老人の白い肢体を、ゾクリとするほど色っぽく見せていた。
キスの好きな老人で、行為の途中で何度も口づけをした。それに私の愛撫に、女のように身悶えして悦んだ。
彼はペニスをくわえるとき、入れ歯を外した。年季が入っているだけあって、うまかった。先端から根元まで、舌を絡めてネットリとなめまわし、吸いつき、喉の奥までくわえ込む。その様子は、いかにもおしゃぶりが好きでたまらないといった風情だ。
私も老人の性器を口で楽しんだ。すんなりとした形の良いペニスで、大きくはなったが、貫通できるほど硬くはならなかった。
「あなたのペニスは硬いと聞いていたけど、いま実感しましたよ」
フレッドが唾液で濡れたペニスを握って、私にうなずきかけた。
やがてフレッドがうつ伏せになって、尻を開いた。白桃のようにツルンとして、その中心部にまろやかな窪みがある。ウケは経験が浅いと言うだけあって、楚々としたきれいなアヌスをしている。
あてがって力を加えると、驚くほど滑らかに入った。内部は温かく、腸の襞が肉棒に絡みつくような感触だった。ゆっくりとしたストロークで抜き差しを始めると、老人が気持ち良さそうにあえいだ。
その日、私はたっぷりと時間をかけて、老人の柔らかい肉体を味わった。
その後、私はフレッド老人のアドバイスを受けて、ときどき週末に、レニエと老人の同棲する家を訪ねた。フレッドは、何食わぬ顔で、私をあくまでレニエの友人として遇した。レニエは私を受け入れて、以前の関係をとり戻した。まとまった休暇が取れるときは、車に乗っての小旅行も再開した。
ふたりの家に泊まった夜は、レニエのベッドの中で親密なひと時を過ごした。
やわらかく吸いつくような感触。かすかにあえぎ声をあげる初心な口元。昇りつめた時の、うねるような直腸の動き――。やはりレニエの具合の良さは、抜群だった。
そしてレニエの蜜のような肉体を堪能しながら、頭の片隅では、隣の部屋で眠るフレッド老人を想った。
そのフレッド老人とも甘美なひとときを過ごすことがあったが、いつもレニエがいない時に限られていた。フレッドと私は、デリケートなレニエに気を配っていた。
かくして私は、日本に戻るまでの4年間、ニューヨークに単身赴任していたが、日本の不自由な性風習から解放されて、大いに男色人生を楽しんだのである。
おわり