■ 異国の地にて - Regnie47
Regnie47
ある晩、ボブとよく行くバーでひとり飲んでいると、隅のテーブルから中年の男がこちらを見ているのに気づいた。男は私と目が合うと、うろたえたように視線を逸らせた。
その男は、なんとなく見覚えがあった。ピンク色の頬をした色白の丸顔で、広いおでこにへばりついた頭髪は、細くて薄い。童顔で若く見えるかもしれないが、少なくとも40代には入っているだろう。
そこで思い出した。男は私と同じアパートの住人だった。朝の通勤時に、玄関ホールで顔を合わせたことがある。白人にしては背が低く、やや小太り気味の体型に、カジュアルな服装をしていた。
私は元来、年下の男に性的興味を持たなかったが、その男のなめらかな丸顔と控えめな仕草が、なぜか私の琴線に触れた。
私はグラスを持って立ち上がると、その男のテーブルに近づいた。
「ハイ、一緒に飲んでもいいかい?今夜は、話し相手がいないんでね」
私が男の向かいに立って言うと、不意を突かれたのか、男はどもりながら返事をした。
「あ、ど、どうぞ。歓迎します」
「有り難う。日本から来たノボルだ、よろしく」
「レニエです。会えてうれしいです」
「たしかあなたは、同じアパートに住んでいますね」
「ええ――アパートで、あなたを何度かお見かけしました」
男はまぶしそうに私を見て、はにかんだ表情を浮かべた。眼鏡の奥の臆病そうな青い目。上向きかげんの鼻、思わずキスをしたくなるような艶やかな唇。ちょっと可愛がってやりたくなるタイプの男だ。
私はじっくりと時間をかけて、レニエの身上や性癖を探ろうとした。レニエは、フランス系アメリカ人で、この国では珍しいほど物静かで口数が少なかったが、私に聞かれるままに自分のことを話した。
予想以上に年を食って、47歳だった。独身でコンピューターのプログラマー。アメリカ人の父親とフランス人の母親の間で生まれ、両親は彼が10歳の時に離婚。母親は現在、カナダで隠居生活を送っている――。そんなことを、彼はとつとつと話した。
私はレニエの様子をうかがっていて、彼がゲイ、あるいは心情的にゲイ志向であることを確信した。私を見る彼の目つきは、密かに思いを寄せる乙女のようだった。
店を出ると、同じアパートだったので、一緒にタクシーで帰った。レニエの部屋は、私の部屋の一階上だった。エレベーターが私の階で止まったとき、私は彼の目を見ながら、そっとささやいた。
「私の部屋に寄って行くかい?」
レニエが黙ってうなずいた。
ボブとセックスするとき、いつも主導権はボブにあったが、私はレニエに対して、アクティブに動いた。おそらく彼のウブっぽい様子や、年下であることが、私にそうさせたのだろう。
まず彼を引き寄せ、そっと口づけした。レニエは従順に私の唇を受けた。私はキスをしながら、彼の体をまさぐった。見かけ以上に柔らかい感触だった。ぷっくりした尻は、私の掌にぴったりとくる丸みがあって、触り心地が良かった。
レニエは感じやすいのか、私の愛撫を受けて切なそうにあえいでいる。
そのあと裸になって、一緒にシャワーを浴びた。レニエは色欲をそそる、素晴らしい肉体をしていた。適度の丸みと柔らかみを帯びた体の線、乳白色の滑らかな肌、体毛はほとんど無く、薄茶色の陰毛がしんなりと生えているだけ。白いツボミのようなペニスとピンク色のボールが、いかにも可愛らしかった。
レニエのほうは、早くも勃起した私のペニスの様子が気になるようすだった。確かに、エラの肉が盛り上がったカリ首は、白人には珍しいのかも知れない。
「勃起したペニスを見るのは初めてかい?」
私が聞くと、レニエは恥ずかしそうに下を向いた。
「さあ、握ってごらん。私をいい気持にさせておくれ」
彼の手をそっとつかんで、股間に導いた。
レニエがおずおずと、私の性器をにぎった。勃起したペニスに、小さくて柔らかい指が絡みつく。幼児の手のようにつたないが、新鮮な興奮を呼び覚ます。私は性急にレニエを抱きしめ、口づけをした。レニエが嬉しそうにしがみついて、私の舌を受け入れる。
今度はレニエを後ろ向きにした。ピンク味を帯びた幼児のような尻。プルンとした丸みと柔らかく閉じた合わせ目。
私は急激にたかぶってきて、背後から性急に抱き締めた。
彼は私より背が低いので、膝を曲げて位置を調整すると、勃起したペニスを尻の狭間に押しつけた。圧倒的な柔らかさだった。私はうっとりとして、柔らかい谷間にそってペニスを滑らせながら、前に回した手でレニエの性器をまさぐった。
しばらく柔らか味を楽しんだ後、シャワーのノズルを取り換えて、レニエの直腸を洗ってやった。たっぷりと温水を注ぎ込んで、レニエが我慢できなくなったところで、便器に放出させる。これを数回繰り返して、直腸の中をすっかりきれいにしてやった。
ベッドルームに行くと、いよいよ本格的に愛の行為を始めた。キスと愛撫でムードを盛り上げたあと、レニエをうつ伏せにし、脚を広げて尻をかかげさせた。
染みひとつないきれいな双丘、その狭間の中心部はやわらかく窪んで、淡いピンク色の秘門がかいま見える。つつましやかに小皺を集めて、いかにも楚々とした風情だ。
私はひざまずいて、谷間に顔をうずめ、窪みに舌を這わせた。
レニエがハッと息を飲んで、気持ちよさそうに尻をうねらせた。
しばらく舌と指を使って、かわいらしい菊の紋章を解きほぐした。それからいよいよ挿入行為を始めた。オイルをたっぷりと塗りこんだが、なかなか入り込めない。
不意に先端部が、ズルリと嵌まった。
「ひーっ!」
レニエが、小さく悲鳴をあげた。なおも奥に侵入させると、彼はシーツにしがみついて、必死に耐えている。
初心な姿態を見ていると、嗜虐的な感情が湧いた。根元まで突き入れたまま、レニエの耳元でささやいた。
「どう、気持ちいいかい」
「久しぶりなので――ちょっと苦しい」
「やめるかい」
「やめないで、お願い。我慢するから続けて」
レニエの言葉を待って、私は本格的に彼を犯しだした。最初はつかえるようなぎこちなさがあったが、じょじょに滑らかになってきた。レニエの反応も、苦痛から快感に変化してきたようだ。
後ろから、前から、横から。私は体位をじょじょに変えていきながら、柔らかい肉体を責め続けた。そして最後は甘美な痙攣をくり返した。
私が果てたあと、今度はレニエを慰めてやった。
白いクワイのように可愛らしい性器だった。先端の縮れた薄皮をツルンと剥くと、ピンク色の丸い頭が現れる。舌で舐めていると、トロリとした先走りがにじみ出る。ペニス全体をスッポリと口におさめ、抽送させてやる。
レニエが体を震わせて快感を伝えた。
彼は早かった。色白の丸っこい体が、二、三度痙攣したかと思うと、乳白色の精液が滲み出た。体をびくつかせた割には、少量の精液だった。
すっかり終わった後、私たちはベッドで抱き合ったまま、レニエの体験談を聞いた。
彼の初体験は高校生のときで、相手は体育の教師だった。教師の家に呼ばれて行った時、強引にレイプされ、その後も何度かセックスを強要された。教師は熊のように毛深くて、アレもコーク瓶のような格好をしていたので、いつも生きた心地がしなかった。
その高校教師のほかに、大学時代は年配の教授と関係を持った。優しい年配者で、いろいろと相談にのってくれて、レニエにとっては父親のような存在だった。
40歳になった頃、熟年のトラック運転手と付き合った。車が故障したとき、近くの町までトラックに乗せてもらったのが、きっかけだった。
ところがある日、年配者の家に行ったところ、他にも3人のトラック仲間がいて、彼らに代わる代わるレイプされた。
男に裏切られて、すっかり人間不信に陥った。それでも悪夢のような記憶が薄れてきたころ、アパートに入居した私を見かけて、密かな思いを抱きだした――。
話が終わるとレニエは、私に抱かれたまま眠りについた。
私はレニエの話を聞いて、何となく理解した。彼の初心っぽい容貌や控えめな性格は、男の獣心を呼び覚ましやすい。それで何度もレイプされる目に会ったのだろう。
翌朝、目を覚まして時計を見ると、5時半を過ぎたところだった。外はまだ暗い。
右腕に体重を感じて横を見ると、レニエが寝ていた。幼児のように無邪気な寝顔だった。ふたりとも素っ裸のまま寝たようだ。
レニエを起こさないように、裸のままベッドから抜け出て、トイレに行った。
すっきりしてベッドに戻ると、レニエが目を覚ましていた。彼は私に向って、はにかんだ笑みを浮かべた。私は彼の体を抱きよせ、やさしく言った。
「キスをしておくれ」
レニエがしがみついてきて、おずおずと唇を重ねた。私も濃密なキスを返した。柔らかい肉体を抱いていると、下腹部がざわめいた。
「また、やりたくなった」
私はささやくと、レニエを抱いたまま体をずり上げて、ヘッドボードに背中を預けた。それからレニエを腰の上に跨らせた。
レニエが位置を正して、尻をゆっくりと下ろすと、湿った柔らかみが、勃起したペニスをじんわりと包み込む。そこはすっかり緩くなって、すんなりと入る。結合したまま、レニエの肉体を抱き寄せて、キスをしてやった。
レニエがうっとりとして、何かささやいた。
「何だって?」
「安心できて――しあわせ」
そう言うと、レニエは私の肩に頬を預けた。