■ ウィタ・セクスアリス(豊潤の門) - 第5章 巨根の老人
第5章 巨根の老人
朝倉との甘美な情事は一度きりだったが、私はしばらく彼の柔らかい感触が忘れられなかった。外を歩いているときなど、無意識に彼の姿を探していた。しかし、朝倉にわざわざ連絡を入れることはしなかった。
一方、家族のいる福岡に戻るのは、月に一度だった。それさえも、仕事の都合で先送りになることがあった。
その頃の私は、知らず知らずのうちに、単身生活の欲求不満が重なっていた。
私の職場に、植田という70歳に近い嘱託社員がいた。大手企業を定年退職したあと、再就職してこちらに来ていた。お公家さんのように薄い眉毛が可愛らしく、性格的にはいたっておとなしい。目立たない存在だが、事務仕事をいつも黙々とやっている。
植田は私の直属の部署にいたので、いつも日常的に顔を合わせていた。そして早くから、私に信頼を寄せているようだ。
そんな彼を、あるひょうきん者の社員が、ウタマロと呼んでからかっていた。なぜ老人がウタマロなのか、その理由は後日分かった。
所属部の旅行のときだった。宴会の終わったあと、酒の強い連中が集まって、飲み直しをやっていた。そのなかに植田もいた。老人はよほど酒が強いのか、色白のつややかな顔はほんのりと朱に染まっているが、ちっとも乱れたところがない。
そのとき誰かが、老人に向かって言った。
「植田さん、余興をやってよ。例のアレだよ」
言われた老人はためらっていたが、みんなが囃したてた。しぶしぶ彼は立ちあがった。
「そーれ、そーれ」
みんなの手拍子に、植田は浴衣姿で踊りだした。ドジョウすくいの要領で、短い手足を愛嬌よく動かして踊る。そのうち腰帯を解き、浴衣を脱ぎだした。
ついには部屋の隅で後ろ向きになって、下腹部を覆う最後の一枚も脱ぎ捨てた。
ぽっちゃりとした白い尻が、剥き出しになった。
植田がこちらに向き直ったとたん、私はドキッとした。
老人の逸物は一見の価値があった。包皮らしきものはまったくない。先端部はふてぶてしく発達して、分厚く、肉感的な陰影をおびている。生白く脆弱な肉体と、股間に重々しくぶら下がる渋茶色の逸物――アンバランスなだけに、妙に生々しかった。
植田が腰を卑猥にくねらせると、渋茶色にふすぼけた性器が、ぶらんぶらんと揺れ動いた。老人は股間のモノをたっぷりと拝ませると、気恥ずかしそうに浴衣を拾って、そそくさと身につけだした。
植田の艶っぽい裸を見て以来、私の男色への欲求不満が、いよいよ我慢できないほど増大していった。
職場で植田の姿を見るにつけ、私はひそかに欲情した。一見、風采の上がらない小柄な老人だが、裸にすれば魅力的な肉体に変身する。老人の小さな体を裸にひん剥いて、つつましやかなつぼみを堪能する。私の頭の中で妄想がひろがった。
正月休みが終わって、初出勤の日は、午後から休みだった。
そのとき植田を、私の住んでいる単身者用のマンションに誘った。実家に帰ったとき手に入れた、珍しい酒を用意していた。
酒に目のない植田は、何の疑いもなく嬉々としてついてきた。
用意した酒の一升瓶が空いたころ、さすがの植田も、呂律があやしくなっていた。それもそのはず、一升瓶の大半は彼が飲んでいたからだ。
いよいよ日頃の妄想を、現実にする頃合だった。私は、気持ち良さそうにソファーの背にもたれかかる老人に言って、風呂を勧めた。それから服を脱がせだした。
上着を脱がせ、ベルトをゆるめてズボンを下ろし、最後のパンツも引き脱がしたときも、老人はぼんやりとして、私のなすままに任せていた。
バスルームでは、狭い浴槽にふたりして入り、身体を密着させて湯に浸かった。
暖まったあと、植田を浴槽の縁に手をつかせ、後ろに突き出した尻を洗った。菊座に指を入れたとき、さすがに老人はあわてふためいて、私の手から逃れようとしたが、私は断固として洗浄作業をつづけた。
風呂からあがると、裸のまま老人の身体を両腕に抱えて、ベッドルームに運んだ。
そのころには植田も、私が何をやろうとしているかに気づいて、控えめに拒絶の意志を口に出したが、強くは抵抗しなかった。
それをいいことに、私はベッドの上で、老人の体を強引に抱いた。しばらく愛撫したあと、サイドボードの引き出しからラブオイルを取り出した。
植田はすっかり観念したのか、私に促されるまま四つん這いになった。
老人らしい弛みがちの白い尻、その合わせ目の中心部で、どことなくもの悲しい表情をした菊座がのぞき見えた。
指を使って、菊門をほぐしにかかった。老人は最後の抵抗を試みたが、私は構わず強引に作業をつづけた。
準備が整うと、背後から老人の腰を押さえ、小さな膨らみに検討をつけてあてがった。
募る興奮に、分身を握る手が震えていた。
じょじょに力を加え、最後はググっと突き入れた。
「ああっ、痛い!部長代理――やめてください――はああっ!」
植田が悲鳴をあげた。苦痛に耐えるように、シーツにしがみついて顔を埋めた。
湿った温もりに包まれたとたん、私はあまりの快感に我を忘れた。やわらかい感触だが、先だって交わった朝倉とは、微妙に違っていた。
私は老人の腰を抱え込んで、直情的に突き進んだ。
湿って滑らかな腸壁を押し広げていく摩擦感――さほど締め付ける緊縛感はないが、粘膜がねっとりとまとわりつく感じだった。
相手の腰を引き寄せ、味わうようにゆっくりと抽送をくり返した。いやがる相手をむりやり犯しているという、サディスティックな快感が頭の中で渦巻いた。
しばらくして体位を変え、老人を仰向けにした。
赤ん坊のおむつを替えるように、両脚をかかえあげ、無防備に開かれた尻の狭間に、ふたたび侵入を開始した。
深々と突き立てると、老人があごをのけぞらせて、うめき声をあげた。ゆっくりと腰を進めながら、様子をうかがった。
お公家さんのような老人の顔が、湯に漂うようにゆれていた。目を閉じ、眉間をしかめ、おでこにうっすらと汗をにじませている。口を半開きにして、まるで少しでも息をすれば、それだけ苦痛が増すといった風情だった。
根元まで挿入したまま、しばらく動かなかった。
この小さな老人の内部は、実に温かかった。全長を包み込んだ粘膜をとおして、老人の精気が滲み込んでくるようだった。
私の頭の中では、みだらな思いが渦巻いていた。
すこし後退して結合部を覗き見ると、ピンク色をした粘膜質の管が、太い肉杭をゴム輪で縁取ったように呑み込んでいる。すぐ上では、ふてぶてしいほど肉厚の男根が、どんよりと横たわっていた。
私は分身を押し戻して動きだした。ゆるやかに――じょじょに速く――力強く。
それとともに老人の開いた唇のすきまから、妙に色っぽいあえぎ声がもれ出だした。
一突き一突きが、股間に渦巻く欲情を増幅していった。
私は激情に駆られたように、相手の脇腹をわし掴みにすると、激しく責め立てた。
肉を穿つ男根、それを受け入れる腹腔――煮えたぎる熱気が充満した。
窮屈な体位のまま、顎をのけ反らせて苦痛にのたうつ老人の姿を見て、嗜虐的な興奮が頂点に達した。
私はいっきに昇りつめ、溜まりに溜まった精液を相手の体内にほとばしらせた。
私が離れたあと、植田はぐったりとして横たわっていた。その様子を見て、少し老人が可哀相になった。私はか弱い老人を、一方的に犯したのだ。
黙って老人の体を抱え上げると、バスルームに連れて行った。そこで、私の体液でよごれた体を洗ってやった。
次の日、会社に行ったときは少し緊張した。なにしろ部下の嘱託を、無理やり犯したのだ。――それも、私に信頼を寄せる老人を。
しかし植田は、何事もなかったかのように出勤してきた。私の顔を見ても、いつも通りに丁寧にあいさつを交わす。私に対する恨みつらみは、微塵も見せなかった。
その日、植田を昼食に誘って、オフィスの外に出た。その場で昨日のことを謝った。
植田は、私の詫びに対して、畏れ多いといった様子でポツリと言った。
「わたしは部長代理をお慕いしております」
思いがけない老人の一言に、私は救われた思いだった。
それから1週間後、嘱託の植田はふたたび、私のマンションを訪れていた。植田の好きな酒を出して、私たちはリビングのソファーで横並びに座っていた。
最初のうちはなんとなく堅苦しい雰囲気だったが、アルコールがそれをほぐした。
そのうち私は、植田の体を抱き寄せて、そっと口づけした。
老人は拒まなかった。じっと私の口づけを受けている。
好色な気分になってきた。
私はズボンの上から、植田の性器をまさぐった。少し硬くなってきたと感じたので、前を開いて男根を露出させた。
カリの張った太いマツタケのような男根。それを愛おしむように舐めた。ボリュームたっぷりの亀頭から、茎につながるくびれの円周、裏側の鈴口へと舌を這わせた。ついで口を開けて、大きな亀頭部を含んだ。
老いた肉太の男根が力を得て、むくむくと盛りあがってくる。口に含むのも大変な大きさだった。そっと様子をうかがうと、植田は目を閉じてかすかに口を開けている。
肉棒はいまや自立できるほど硬くなっていた。70歳に近い老人の持ち物にしては、すこぶる元気がいい。息苦しさを我慢して、じりじりと根元まで呑み込んだ。膨れ上がった先端部が喉の奥を突いた。
顎が疲れたので、横咥えにして、太い棹伝いに舐めていると、老人の控え目な善がり声が聞こえてきた。
こんどは指を使ってしごきながら、膨れ上がった先端を口でおしゃぶりした。空いた手は玉袋をまさぐり、蟻の門渡り、そしてやわらかい蕾へと指を這わす。
老人の息遣いが荒くなった。
熱っぽくしごきながら、音を立てて先端を吸った。
植田が腰を微妙にくねらせだした。そのとき老人の射精の疼きを感じた。
「ああっ!」
小さく喘いで、体がピクリと動いた。とたん、口の中にトロリとした液体がにじみ出た。ほんの少量だったが、老人は射精したのだ。
色白の顔は上気して、気が抜けたように和らいでいた。
温和な顔を見ていると、いいようのない愛おしさを覚えた。私は自分のズボンの前を開いて、既に頭をもたげた陽根を露出させた。それから老人の体を抱き寄せた。
驚いたことに、老人は自分からすすんで私の股間に顔を伏せ、ズボンから突き出た肉根を口に含んだ。先ほど自分が受けた口淫を、今度は私にお返ししているのだ。
舌先でねぶり、咥え、吸い込み、抽送する――。湿ったなめらかな感触に、私の分身はこれ以上ないほどいきり立った。あとは湿った穴倉にもぐり込ませるしかなかった。
私たちはひと休みして、バスルームでシャワーを浴びた。そのとき老人の後ろも洗浄したが、今回はおとなしく尻を突き出していた。
リビングに戻って、炙ったイカをつまみに、焼酎のお湯割りを呑んだ。イカは福岡の実家から送ってきたものだった。
植田はぽつぽつと話し出した。前の会社のとき、福岡で働いたこともある。そのとき食べた炙りイカの味が忘れられない。まさか今日頂けるなんて感激です――等々。
ほんのりとした酔い心地になると、抱き合って、艶めいた行為を始めた。
口づけしながら、老人の感じるところを刺激した。行為が熱を帯びてくると、老人を裸にして、尻の狭間にラブオイルを塗りこめた。指の先で菊座をえどるように愛撫し、弛んだ蕾の中心部に指をもぐり込ませた。
ああ!――植田がため息のような声をあげた。
私はソファーに座ったまま、老人を私の腰にまたがらせ、やわらかい菊座に没入した。
はあっ!くくくっ――植田がくぐもった声をあげて、私にしがみついてくる。
根元まで浸透したまま、しばらく動かなかった。やわらかくて温かい腸壁の襞が、張り詰めた亀頭部にまとわりつくのを感じた。
おもむろに腰をうねらせ始めた。
老人は私の胸に顔をうずめたまま、静かに受け入れていた。
私は先を急がず、ゆったりと腰をうねらせた。長年連れ添った夫婦のような穏やかな交合だった。湿った窪みをうがつ濡れた音、かすかな喘ぎ声、とぎれとぎれの吐息――密やかな音が重なり合い、熱気がじょじょに充満した。やがて甘美な一瞬を迎えた。
嘱託の植田とは、その後も何回か私のマンションで親密なひとときを過ごした。
後日、その老人が喉頭癌で急逝したとき、私はうつろな喪失感を味わった。