目 次
慕情 第三部(新たな道のり) - (エピローグ)
(エピローグ)

俊和は、義父と一緒に熱海のホテルに泊まっていた。
ひっそりと静まり返った部屋で、ふたりは並べて敷かれた布団に横たわり、次の行動に移りそびれていた。
夕食時に飲んだアルコールも醒めて、俊和は充実した力が全身に満ちてくるのを感じた。
彼は思い切って、義父に声をかけた。
「お義父さん、そちらに行っていいですか?」
「ああ」――義父の声がした。
俊和は起き上がり、義父の横たわる布団にもぐりこんだ。未知の行為への惧れからか、それとも緊張からか、老いた体は微かに震えていた。
俊和は義父の目もとを見て、一瞬、ひるんだ。そこに亡き妻の面影を見たからだ。
(――淑子、すまない。でも、ほかの女を抱くよりはいいだろう?)
おもわず心の中で言い訳していた。
義父がおずおずとしがみついてきた。その体の温かくやわらかな感触に、おだやかな愛情が、じょじょに熱を帯びてくる。
俊和は、義父の体をしっかりと抱きしめた。
「ああ――待ってた――どんなにか、このときを」
義父が喘ぐようにささやいた。

最初はそっと唇を合わせた。
俊和は口づけしながら、義父の浴衣を脱がした。帯を解き、襟を開き、下着をめくる。それから、あらわれた肌をやさしく愛撫した。
義父の体はふっくらとして、このうえなく柔らかい。そして、まだ充分みずみずしく、掌にしっとりとなじんだ。
腕の中で、義父は目を閉じて、ときおりため息のような甘い喘ぎ声をあげている。
俊和はすばやく自分の寝着を脱ぐと、上布団をめくった。暖房を効かせていたので、寒くはなかった。

形良く膨らんだなめらかな肢体が、淡い照明に浮かび上がった。その体を愛撫しながら、下のほうに目を転じると、ふっくらと盛り上がった恥丘、淡い陰毛の中から醒めた色をした男根が、頭をもたげかけていた。肉太で、包皮は剥けていた。
俊和は義父のふくよかな裸体を、脳裏に焼き付けるかのように、じっくりと観察した。それから顔を寄せて、乳首に舌を這わせた。
「あ――はあ」
義父が甘い吐息をついた。眼鏡をかけた温厚な顔、艶やかな唇がわずかに開かれている。俊和は胸から腹へと舌を這わせながら、じょじょに体位を変えて、自分の下腹部を義父の顔に近づけた。

義父はなんのためらいもなく、俊和の分身を口に咥えた。
(あ――いい――)
思いもよらず、慣れた舌技だった。ピンク色の舌が、亀頭部をねぶり、音を立てて吸い付いてくる。硬直して色濃く染まった陰茎が、唾液にぎらぎらと輝いて、あんぐりと開けた唇の輪に見え隠れする。
義父がこんなことをするのが初めてでないことは、歴然としていた。木村が教えたのだろうか。陶然としながら、俊和は義父に声をかけた。
「ああ、気持ちいい――お義父さん、初めてなのに、とてもおじょうずですね」
義父は口を離すと、恥ずかしそうに言った。
「いや、きみを口にするのは、初めてではない」
何のことか分からなかった。そういえばこれまで朝方、何回か、妙にすっきりしていたことが――そこで、理解した。彼が寝ている間に、義父はおしゃぶりを楽しんでいたのだ。

お返しに、義父にもサービスしてやった。半立ちの陽根をつかむと、そっと口に含んだ。滑らかな舌触りだった。口に含んだまま、舌をぐるりとまわした。太った腹が快感に震えた。義父の体からは、かすかに石鹸の匂いがした。
俊和は、すっかりみだらな気分になってきた。
義父の男根を口に含んでいると、いとおしさが募った。適度のボリューム感となめらかな触感、そして高齢者らしく貫くほどの硬さは無い。
すっかり興奮して、喉もとまで呑み込んだ。
「ああっ、いいっ!」
義父が気持ち良さそうに、喘ぎ声をあげた。

しばらくして体の位置を変えると、義父の両脚を引き上げ、ぐっと左右に押し広げた。
そのままの姿勢で、むきだしの股倉に顔を埋め、玉袋を口に含んだ。それから蟻の門渡りの柔らかい肌にそって舌をすべらせ、やわらかく盛り上がった皺の集合体を舐めほぐし、押し広げた。
皺のひとつひとつはぷっくりとして、恥じらうように、きれいなピンク色をしていた。いかにも欲情をそそる菊の蕾だ。
かすかにハッカの匂いがした。義父は前もって腸内を清め、潤滑油を入れていたのだろう。俊和は一瞬、義父の用意周到さにたじろいだ。それでも気を取り直して、とがらせた舌の先を、肛口の窪みに押し付けた。
「あはあっ!――ああっ――ああ」
義父が甘ったるい声をあげ、体をしなやかに反らせた。
木村に教わった舌技は、効果抜群だった。それに俊和自身、股間のイチモツを弓なりに勃起させていた。
「お義父さん、気持ちいいですか」
俊和は舌を使いながら義父に聞いた。
「ああ、いい――そろそろ入れて」
義父が、ため息のようにつぶやいた。
「本当に入れていいのですね」
「ああ――」

義父を四つん這いにさせると、挿入する前に後ろをじっくりと観察した。赤ん坊の肌のようにツルンとした白い双丘、開かれた狭間が淡いピンクに色づいている。その中心部に、小皺をあつめた秘門が、オイルに濡れて、ひっそりと息づいている。
俊和は背後からあてがうと、ゆっくりと沈めた。滑らかな挿入感だった。菊門は極限までひろがり、卵を呑み込む蛇のように受け入れた。
「はあっ!――あっ、ああ」
亀頭部が完全に入り込むと、義父はシーツにしがみついて、小さな悲鳴をあげた。
ほどよい緊縛感に包まれた。しかも温かく、蠢いているような微妙な味わいがあった。
サディスチックな興奮が、沸き起こってきた。
「いい――すごくいいです、お義父さん。まるで吸い付くようだ」
俊和は声に出して、義父に伝えた。それからわき腹を両手で掴み、ぐぐっと引き寄せた。反り返った剛刀が、肉の管を突き進んだ。
「うわあっ!ああーっ」
義父があごをのけぞらせて、哀れっぽく悲鳴をあげた。
「痛いのですか?――もうやめましょうか?」
俊和は根元まで突き入れたまま、意地悪く聞いた。義父が苦しみながらも、ウケの悦びを味わっているのは分かっていたが、これまでさんざん心配させられたお返しだ。
「い、いや、つづけて――」
義父は、食いしばった歯のすきまから、うめくように言うと、シーツに顔を埋めた。

その言葉を待っていたように、俊和は本格的に腰を使いだした。義父の後ろはこのうえなく豊潤で、そして滑らかだった。
俊和は、ゆっくりと大きく抜き差ししながら、義父の様子を見守った。
「どうです、お義父さん――気持ちいいですか」
「ああ――いい――ちょっと苦しいけど」
「苦しい?――じゃあ、やめますか」
「いや――つづけて」
「いいのですか――で、木村さんと比べてどうですか」
「きみのほうがいい――ずっといい」
「うれしいですね――もっと奥まで入れますよ――ううむっ」
「あわわっ!いいっ――はああっ!」

うっすらと脂肪の層で覆われた肢体が、俊和の一突き一突きにうねり、たわんだ。絶えず聞こえてくる、喘ぎ声が艶めかしかった。
俊和は嗜虐的な興奮を覚え、動きを早めた。極限状態まで膨れ上がった欲望の塊が、義父の体内をえぐるように行き来した。その全長を、熟成した軟らかい肉襞が包み込み、吸いつき、締めつけた。
俊和は、義父の背後を犯しながら、無尽蔵の精力を覚えた。そしてまた、義父の体が急速に、なじんでくるのを感じていた。
粘膜の管が亀頭から竿までぴっちりと包み込み、形状に合わせていかようにも変化する。

長年連れ添った夫婦のように、ふたりの呼吸はぴったりと合ってきた。
深夜の室内に、熱情に駆られた吐息と、甘い喘ぎ声が溶けあった。
しめやかな行為が熱を帯び、シーツが炉と化したように熱くなった。
鳥肌の立つような射精のうずき――。
俊和は動きを止め、ぐっと我慢した。
(まだ早い。夜は長いんだ――)

目覚めたとき、まだ暗かった。ふと横を見て、義父の姿がないのに気づいた。あわてて時計を見ると、六時すこし前だった。
俊和は義父を探した。部屋のトイレにはいなかった。ふと思い立って、階下の大浴場に行った。
義父は、広い洗い場の片隅にいた。ほの暗い中で、ひっそりと腰かけて体を洗う義父のふくよかな肢体は、昨夜充分に堪能しただけに、妙に艶めいて見えた。
俊和は裸になると、義父に近づいた。
「お早いですね、お義父さん」
「おお、おはよう――目が覚めたかい」
義父は、俊和の股間をすばやく見て、はにかむように微笑んだ。
かわいい――俊和の胸の内で、温かいものがひろがった。と同時に、昨夜の行為を思い出して、股間が自然に反応した。
それに気づいて、義父がうれしそうに微笑んだ。
「若いのだね。もう元気になって――」
いかにも幸せそうな義父の顔を見て、俊和はこの上ない愛情を覚えた。
と同時に、一抹の不安もあった。彼が関係を持った複数の老人たち――。いったい自分が行き着く先は、どこなのだろう?
                                   おしまい

(あとがき)
この小説を読み返していて、亡き義父への想いが募ってきました。
――無性に会いたい。
写真の義父は昔のまま、穏やかな表情でこちらを見ています。
かすかにひそめた眉間の皺、優しさをにじませた純朴な瞳――すべてが狂おしいほど懐かしく感じられます。 作者
[17/11/30 04:18 神亀]
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