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■ 大輔と昌平 - 第五話 初体験の思い出
第五話 初体験の思い出

梅雨入りした。毎日、雨模様のうっとうしい天気が続いている。
大輔と昌平の住む家の狭い庭にも、朝からしとしとと細い雨が降り続いていた。
昌平が丹精込めて手入れしている盆栽や、庭の片隅に咲く紫陽花の葉も、鮮やかな緑色に濡れている。
大輔は敷布団を広縁にひろげ、下着姿の昌平をうつ伏せに横たわらせて、マッサージをしていた。
梅雨の鬱陶しさを吹き払うように、縁側のガラス戸は大きく引き開けられている。湿気を含んだ空気が室内に流れ込んで、多少なりと冷房効果を生みだしているようだ。
肉の厚い手が七十六歳の肉体をもみほぐす。首筋をもみ、肩を丸くなでる。疲労を取るというよりは、快感を送り込むような手の動きである。
昌平が心地よいうめき声をあげた。
「ああ――いい気持ちだ。ダイちゃんは、アレも上手だけどマッサージも上手だな」
「そうかい。昌ちゃんのお褒めにあずかって、光栄だ。じゃあ、これはどうだい?」
大輔は手の平全体で、腰の窪みをグッと押さえた。
「ああ――いい――ダイちゃん、こんなマッサージ、いつ覚えたの」
「子供のときだ。爺さんを相手にな」
腰から下に手をずらせて、丸っこい尻を揉みながら、大輔が答えた。
それを昌平が、からかうように言った。
「へーえ、子供のころから、爺さんが好きだったんだね」
「ああ、爺さんが大好きだった――」
大輔は、遠くを見るような眼差しをした。それから、何が彼をそうさせたのか、祖父の思い出話をしだした。

「婆さんは早くに死んだので、爺さんは庭の離れにひとりで住んでいた。ぽっちゃりと太った、優しい爺さんでね。子供のころは、その爺さんの住む離れに、よく遊びに行ったものさ。あれは、おれが十歳のときだったな、爺さんの秘密を知ったのは――」
大輔は考えをめぐらすように、しばし口をつぐんだ。
「その日は何かの行事があって、小学校は昼までだった。学校から戻って昼飯を食べたあと、さっそく爺さんのいる離れに行くことにした。中庭を歩いているときだった。窓が少し開いていて、そこから爺さんの変な声が聞こえてくるんだ。
痛みを訴えるのではなく、妙に甘ったるい調子だったな。おれは子供心にも、胸がドキドキしてきたのを覚えている」
大輔は話しながら、寝そべる昌平の太腿の付け根からふくらはぎにかけて、丹念に揉みほぐした。
「ちょうどミカン箱があったので、窓の下に持って行って、それを踏み台代わりに、窓の中を覗いてみたんだ。そこで仰天した。
なんと、男がズボンをずり下げて、爺さんの上にのしかかっていたんだ。男は筋肉質のたくましい体つきをしていた。
おれはすぐに、その男が近所に住む、大工の平八さんだと気付いた。
おれのほうからは、剥き出しの大きな尻が、もくもくと爺さんの体に向かって動いているのが見えた。なにか餅つきをしているような、ついた餅をこねているような、そんな動きだった。
平八さんに押さえ込まれた爺さんは、仰向けになって、股を広げ、自分の足を抱え持っていた。ちょうど平八さんの肩の向こうに、爺さんの顔が見える按配だったな。
目を閉じ、口をあけて、しきりに甘ったるい呻き声をあげている。なんだか苦しいような、気持ち良いような、複雑な表情をしていた。
ふたりの体の間から、猫がミルクを舐めるような、ピチャピチャ、クチュクチュ、と濡れた音が聞こえていた。
二人が何をしているのか、十歳のおれでも理解できたよ。学校で悪ガキたちが言っていたこと――男と女が子供を作るためにやるアレを、おれの爺さんと大工の平八さんが、やっているんだ。
筋肉質の浅黒い肉体と、しっとりとした白い肉体が絡み合って、濡れた卑猥な音まではっきりと聞こえてくる――。
十歳のおれには、あまりにも刺激が強すぎた。
(でも男同士で、どうやってやるんだろう?)
おれは不思議に思ったが、繋がったところはよく見えなかった」

大輔はマッサージの手を止めると、昌平の尻をポンと叩いた。
「はい、マッサージはこれでおしまい」
と言うと、横にゴロンと寝そべった。自分の話に興奮したのか、ズボンの前が大きく膨らんでいる。
大輔は、両腕を頭の下に組んで、仰向けのまま話を続けた。
「それが男の世界を知った、おれの初体験だ。どうやら爺さんは、おれが見ていたことに、気づいていたようだ。次の日から、大人のチンポがどうしたら大きくなるのか、どうしたら気持良くなるのか、身をもって教えてくれた。おれに握らせたり、舐めさせたりしてね。
それが、爺さんとおれだけが共有する、秘密の遊びになった。
その後、おれが高校生になったとき、チンポを爺さんの尻に入れるようになった。だから、おれの初体験の相手は、女ではなく、爺さんだったってことだ」
昌平は話を聞きながら、大輔のズボンの前を開いた。すでに大きくなった肉根を取り出して、軟らかい指で弄びながら訊いた。
「ダイちゃんの爺さん好きは、そんな理由があったんだ。でも、ダイちゃんのような男っぽい人の爺ちゃんがウケだなんて、なんか変な気がする」
「爺さんは、おれと違って色白で、品の良い顔立ちをしていた。体も小さいほうだった。だから、男たちに持てたんだと思うよ。
それで――昌ちゃんは、どうなんだい?いつ、男初体験をした?」
昌平はためらった。それからぽつりと言った。
「あまり話したくないんだ」
「いい思い出じゃないんだな」
「ああ。若い頃、学生寮で輪姦された――ブルーフィルムを見たあと、三人掛かりで」
「――ひどい目にあったんだな。でもなんで男好きになったんだ?そんなひどい目にあったんなら、普通は逆だろ」
大輔の疑問に、昌平はフッと微笑んだ。大切な思い出の人――家の近くにある禅寺の和尚は、昌平が子供のころ、なにかと可愛がってくれた。
早くに実父を亡くした昌平は、この和尚に父親のイメージを重ねて、よく遊びに行ったものだった。

寮仲間たちに、娼婦のように扱われて、人間不信に陥っている時だった。
寺を訪ねた昌平は、何も言わなかったが、和尚は昌平の微妙な変化に、すぐ気付いた。
「昌平とは親子同然の仲じゃないか。さあ、おまえの悩みを、私に話してごらん」
と和尚は言った。
和尚は五十年配の独身男で、恰幅のよい体型と、男の甘い色気を感じさせる顔をしていた。その優しい顔を見ていると、昌平は全てを話す気になった。
昌平の告白を聞き終わったあと、驚いたことに和尚は、そんなことは日常茶飯事だ、という口ぶりで言った。
「気に病むことは何も無い。昌平も、大人の仲間入りをしたってことだ。今夜は寺に泊まりなさい。私が大人の世界を教えてあげよう」

和尚の寝室は、しんと静まり返っていた。枕元灯の黄色っぽい明かりが、ぼんやりと白い夜具を浮かび上がらせている。
昌平は一糸まとわぬ裸にされた。そして、敷き布団の上で、和尚の大きな体の中にすっぽりと抱き込まれていた。
肉厚の柔らかい手が、全身を優しく撫でまわしてくる。昌平は息をひそめ、体を固くしていたが、一方では大きな安心感も覚えていた。
背中に押し付けられた和尚の体は、ふっくらとして柔らかく、そして温かかった。ゆるやかに起伏するでっぷりとしたお腹が、昌平の腰を柔らかく圧迫している。
肉厚の手が、昌平の肩から胸、腹へとゆっくり撫で回す。
乾燥した温かい手の感触が、心地よかった。
うっとりとするさざめきが、触られた部分から全身に伝播する。
その手が下に伸びた。
「若いだけに元気がいいね」
太い指が、勃起した若い陰茎を掴み、包皮をむき、やさしく扱きだした。
「どう、気持ちいいかい?」
「ああ――」
昌平は快感にのけぞった。他人の手でされたのは初めてだった。肉根を握る手は、とろけるように柔らかかった。もう一方の手が背後に回り、じんわりと這い下りた。

尻を撫でられたとき、昌平は息を弾ませた。
そのあと体を前に押されて、四つん這いにされた。
ふたたび尻を撫でられた。ついで、狭間の固く閉じた小さな蕾に、器用な指が触れてくる。
「あ――」
昌平は思わず腰をずらした。菊肛に、異様な触覚がざわめいた。
指がゆっくりと、円を描くように動いた。指の接触部分から、未知の感覚が這いずり上がってくる。
昌平は、いつしか目を閉じていた。
指が小さな円を描きながら、押し入ってきた。オイルでもつけているのか、その指はツルリと菊門に入ってしまう。
「ああっ!」
昌平は小さな悲鳴を上げた。
指が、体の中で動いた。
「やめて――」
尻をずらして、指から逃れようとした。
指がまた同じところを狙ってきた。
ツルリと滑り込んでくる。
「あ――やめて――」
昌平の抗議を無視して、指がツルリ、ツルリ、と抽送しだした。
なんの痛みも感じなかった。今までに感じたことのない、不思議な感触だった。しかし、その感触は、自分が行ったことのない、未知の高みへと連れていかれそうな、不安な昂ぶりを覚えるものだった。
和尚の指は、昌平の昂ぶりを充分に承知したように、ゆっくりと出入りした。
昌平の息遣いが荒くなった。指に貫かれたまま、小さな尻がくねった。
指の動きが微妙に変化して、昌平の体の中でゆっくりと回る。
「あ――あ――あ――」
昌平は、異様な快感のなかに呑み込まれた。いまや指一本に翻弄され、我を忘れかけていた。
そのとき、腰が引き上げられ、両脚を左右に広げられた。和尚が膝立ちになって、背後から体を押しつけてきた。
隆起した温かいものが、菊肛にあてがわれた。ついで指よりも太いものが、押し入ってきた。
薄闇に、昌平のくぐもったうめき声が滲みわたった。

その後数日間は、和尚の太い陽根が、まだ尻に入っているような感覚が残っていた。
昌平は、和尚が自分にとって特別な人となったのを意識した。あのとき、太い性器が尻穴に入ってくるのは苦しかったが、それと同時にドキドキする興奮も覚えていた。
昌平は、月に一度は和尚のもとに行くようになり、行くたびに和尚の愛を受けた。
たび重なる肛門性交と口腔性交によって、彼の体は男を喜ばせる器として、じょじょに開花していったのである。
[17/06/19 07:15 神亀]
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