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血の絆V(前編)
血の絆V――酒蔵の春――

神戸市灘区・東灘区と西宮市を合わせた海岸寄りの一帯は、灘五郷と呼ばれ、江戸時代から『灘の生一本』で知られる清酒の生産地である。
ここ東灘区にある木原酒造も、江戸時代から続く造り酒屋のひとつで、代々堅実経営で、時代の波に乗り遅れない程度に酒造業を維持してきた。
戦後その老舗の店を近代的な会社組織にして、業界でも確固たる地位を築いたのが木原宗一郎である。そして、宗一郎の後を継いだ長男繁は、業容を拡大し、会社を急成長させていったが、志半ばで急逝した。