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■ 男色奇譚―男色の極み― - (4)秘術『吸陰腔』
(4)秘術『吸陰腔』

「どうやらオトコを取り戻したようだな」
翌朝、朝食のときに天山は言った。「おかげでわしは寝不足だ。お前たちの善がり声がうるさくてな」
昌輔と修三は、恥ずかしさに体を小さくした。
天山がほがらかに笑った。
「まあ、いずれにしろめでたいことだ。これで旅の目的は果たせたが、予定通り、これから宮原久平に会いに行く。ここから近いはずだ」
天山は言って、修三を見た。「お前はこの先どうする?わしとしては、浅草の家に戻って欲しいと思っている」
修三は頭を下げて、嬉しそうに言った。
「ありがたいお言葉です。屋敷を出たわたくしですが、お言葉に甘えまして、もう一度お仕えさせていただきたいと思います」
「それで、この家はどうする?」
「はあ、もともとボロ家ですから、どなたか住みたい人がいれば、譲ってあげようと思います」

家の整理をする修三を残して、天山と昌輔は出発した。修三とは、帰りに合流することにしていた。
目的の宮原久平の家は近かった。海岸沿いに歩いて、30分ほどで到着した。鄙びた漁港にある、鉄板葺きのこぢんまりとした漁師小屋だった。
久平は72歳になるが、若々しい精気を感じさせる老人だった。禿頭で、背の低いスリムな肉体は、鞭のようなしなやかさがあった。服から露出した肌は、日焼けなのか地色なのか分からない、茶褐色に染まっている。
天山と宮原老人は、久しぶりに会った旧来の友のように、再会を喜んでいた。それに遠慮して、昌輔は少し離れたところにいた。
ふたりが時折こちらを見るのは、昌輔のことが話題になっているようだ。

ほどなく、天山が手招きして昌輔を呼び、久平の漁師小屋に入った。
室内は薄暗く、炊事設備のある土間と、囲炉裏を切った6畳ほどの板の間があるだけだった。家具調度類は、極端なほど少なかった。部屋の隅に畳が敷かれていて、そこが老人の就寝スペースのようだ。
久平は押し入れから敷布団を出して、畳の上に敷いた。それから天山に向かって、「身を清めてきます」と言って、家の外に出て行った。
10分ほどして久平は戻ってきた。すでに11月に入って肌寒いというのに、フンドシ姿で、脱いだ衣類は腕に抱えている。
「では始めてもらおうか」
天山が久平に頷きかけて、訳が分からず突っ立っている昌輔を叱った。
「なにをしている。お前も早く服を脱がんか」

朝の10時からの交合である。昌輔はとまどっていた。修三の家と同じくここも電気を引いてなく、部屋の中が薄暗いのがせめてもの救いである。
久平は少年のような体つきだが、骨ばったところはなかった。しかも全身、茶褐色の肌をして、頭だけでなく股間も体毛がない。
老人が抱きついてきた。非常に柔軟な肉体なので、昌輔の体にタコのように絡みついてくる。そしてすぐ昌輔のオトコを口に含んだ。昌輔もラブオイルを使って、老人の後ろを解しにかかる。
準備が整うと、昌輔は久平の脚を抱え上げて、愛の形を作った。
弾力のある肉体が押し曲げられて、その両脚はほとんど胸にくっつかんばかりだった。
昌輔は入れる前に、丸まった小振りな尻を観察した。無防備に晒された谷間で、とぼけた表情の菊門がゆるやかに口を閉じていた。皺のひとつひとつがぷっくりとして、軟体動物の口のようだ。それを見ていると、昌輔の陽物がぐんぐんそそり立ってくる。
昌輔は挿入行為に移った。
膨れ上がった先端部を、ずぶりとめりこますと、老人が鋭く喘ぎ声を上げた。
そのままじんわりと奥へ進める。
すばらしい挿入感だった。老人の菊門は驚くほどの弾力性をもって、太い亀頭を受け入れた。内部は、さほどきつすぎもせず、しっぽりとくわえ込んで、不思議な吸引力があった。
完全に入り込むと、信じられないほどの充足感に包まれた。まるで幾重にも連なった襞が絡みつくような感触だった。
肉杭を打ち込んだまま、老人の表情を見守った。老人は眉をひそめて目をつぶり、心地よさそうな表情をしている。
先を急がず、ゆっくりと動きだした。
内部は非常に滑らかで、みずみずしく潤っていた。
昌輔は、男として交合できる喜びを噛み締めていた。陰茎に力が集中して、腸の粘膜を押し開きながら突き進む。ときおり腰を捻ってえぐるように動くと、老人が敏感に反応して身悶えする。

そのとき、天山の声が聞こえた。
「駄目だ、動くんじゃない。陽蠕棒を使ってみろ」
昌輔は動きをとめ、直腸に埋没した男根に自立運動を加えた。
老人が顎をのけぞらせ、その口から絶え間なく喘ぎ声が漏れだした。
そのときだった――腸壁が生き物のようにうごめきだしたのだ。
無数の襞が肉棒に絡みつき、締めつけ、揉みしだいた。ここに来る前に交わった修三の感触に似ているが、ずっと強烈なものだった。
昌輔はめくるめく快感に、思わずうめき声をあげた。
それだけではなかった。腸壁が奥に向って、波状にすぼまりだした。まるで幾重もの輪状の肉襞が、陽根に絡みつき、奥に吸いこもうとしているような感触だった。
稲妻に打たれたようなクライマックスが襲った。
昌輔は背中を反らせ、叫び声をあげながら、断続的に噴出した。脈打つ男の部分から、内臓を絞り出して全てを放出するような感覚がつづいた。

すべてが終わったあと、昌輔はぼう然としていた。あまりにも強烈な快感だった。大量の精を吐き出して、股間がすっかり空になった気がした。
天山の声がした。
「どうだ、吸陰腔の味は?」
昌輔は脱力して、ぼんやりと答えた。
「言葉では言い表せないほど、すごい秘術です。――まるで、吸引器のようでした」
彼はまだ、ショック状態から抜けきれていなかった。イチモツを押し包み、うごめく腸壁の感触が、鮮明に残っていた。
「吸陰腔のすごさは、どんな太さの男根でも、大きさを合わせてくることだ。指を入れてみろ」
天山が、老人に向けて顎をしゃくった。
久平はひっそりと横たわっていたが、ときおり痙攣したように、ピクリピクリと震えている。その全身はしっとりと潤って、ぬめるような艶をおびていた。まるで男の精気を吸収して、何歳も若返ったようだ。
昌輔は老人の尻を開いて、狭間を覗き見た。ぽってりと膨らんだ菊門が、口を開きかけていた。白い精液が滲み出て、隠微に濡れ光っている。
その開口部に、指をもぐりこませた。
ほの温かい肛門括約筋がじんわりと締め付けた。その先に指を進ませた途端、腸壁の動きが伝わってきた。粘膜の壁がうねるように、奥に向かって収斂しているのだ。
(これは!)
昌輔は仰天して、指に伝わる異様な動きに、全神経を集中した。
背後から天山が説明した。
「吸陰腔は危険な技だ。久平さんがその気になれば、おまえの精液を枯れ尽くすまで吸いこむこともできる。いいか、その動きを頭で覚えるんではなく、感じ取るんだ。おまえなら出来るはずだ」
これは至難の技だった。修三の直腸は、蠕動運動を行うことで蘇陽根を完成させた。この老人は蠕動運動に加えて、分節運動まで出来るのだ。
分節運動は通常、送られてきた内容物をより細かくするため、数センチおきに環状に収縮する動きである。しかも蠕動運動にしても、老人の場合は通常と逆の動き――つまり、外に送り出す動きではなく、奥に吸い込もうとする動きだった。
これは一見、自然界の摂理を超えた秘術と思えるが、実はこの蠕動運動は、一般の人でも見られるものなのだ。人体は廃棄物を体外に出したあと、直腸内をきれいにしておこうとする習性がある。つまり、直腸内の残滓を結腸に押し上げる動きだ。通常は気付かぬほど小さな動きだが、宮原老人の場合はその動きが顕著なのだろう。

昼飯は、漁師料理をご馳走してくれた。とくに房総の漁師から教わったというナメロウは、絶品だった。イワシの切り身に味噌と日本酒を加え、それに季節のネギと春菊を乗せ、包丁で粘り気が出るまで細かく叩いたものだ。それを醤油につけて食べる。
食事が終わると、天山は昌輔に言った。
「わしはこれから修三のところに行く。そこで2、3日逗留して、修三と一緒に東京に戻る。お前はここに残って、久平さんの吸陰腔を会得しろ。――いいか、覚えるまで東京に戻ってくるんじゃないぞ」
そのあと天山は、久平に言った。「久平さん、よろしくお願いします。それから、ここから30分ほど行ったところに、修三という男の家がある。そこは空き家にするので、よろしければ久平さんが使ってください。裏に温泉の出る露天風呂がある」
「ああ、知っています。命の湯ですね。何度か利用させてもらいました」

その夜から、久平の指導の下、吸陰腔を会得する訓練が始まった。
実践の前に、老人は硬い木を加工して作った張形を取り出した。3つの団子を繋ぎ合わせたような凹凸があり、よほど使い込まれたのか黒光りしている。
「わしは毎晩、これを使って修業した」
老人はその張型を使ってみせた。
まず秘門にあてがい、ひとつ目の節まで押し入れる。老人がいきむように腹を波打たせた。すると菊門が張形を吸い込みはじめ、あっという間に3つ目の段まで呑みこんだ。しかも驚いたことに、張形を自在に出し入れできるのだ。

張形を使っての訓練がつづいた。それだけでなく、吸陰腔の動きをイメージするため、老人と実際に交わった。男根に伝わってくる腸壁の動きを、身を以て学び取るのだ。
ついに、3つ目の段まで呑みこむことが出来るようになった。老人の家に来て、3日目の夜のことである。
すでに昌輔の直腸が、吸陰腔に近い動きをしていたのが、上達を早めたようである。あまりに早い上達に、宮原老人は驚いた様子だった。
しかし、まだまだ老人の吸陰腔にはとうてい及ばない。
(久平さんの域に達するには、どれくらいの日数が必要だろうか?)
昌輔は若干、疲れを覚えていた。
そんな昌輔を見て、宮原老人は言った。
「どうです、ここらで命の湯に浸かってきては。わしは明日、村の会合があるので、そのあと参ります」
[17/04/15 06:09 閑名三爺]
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