◇対談=淀川長治(キネマ旬報にて)
「淀川」 楽しみにしてました。 開高さんが呼んでくれたので、どうしても来たくなったのね。 一緒のお風呂に入りたくなっちゃう。 「開高」 ウハッ 「淀川」 一番好きなのがこういう顔なんです。 まあるい顔でいかにも地蔵さんのような顔。 こういう顔の人は優しくて、大好き。 どこかの受賞式で私は初対面なのに開高さんにほっぺを・・・・ そしたら奥さんが「淀川さん、私の主人をとらないで」って。 「淀川」 いい顔ねあんた。 「開高」 いやいや 「淀川」 あなたとおしゃべりすることで、 私の人生の歴史にひとつの輝きができるんですから。 私は日本の男性でこのぐらいタフで、 このぐらいサッパリしていて、このぐらい好色的なくせに好色でなくて こんなん珍しいと思います。 「開高」 圧倒されますなあ。 「淀川」 あんた笑ったら可愛いらしいな。 「開高」 淀川さんはさすがは話術の達人、当代、稀な人、尊敬申し上げます。 「淀川」 この録音テープは大切にして僕の棺桶に入れてもらおう。 |